中国人業者による「IT導入補助金」不正受給の手口とは(SNS小紅書より)
経済産業省所管の独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が2017年に開始した「IT導入補助金制度」について、不正受給が横行している。昨年10月、会計検査院は2020年から3年間に約1億4755万円の「IT導入補助金」の不正受給があったと公表したが、中国のSNS上では「簡単に不正受給できる」と謳う業者が多数現われている。その手口とは──。中国に詳しいライター・廣瀬大介氏がレポートする。【全3回の第2回】
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こうした不正受給は「中国系業者」にも広がっている。小紅書(中国版インスタグラム)では、IT導入補助金について中国語で「350万円IT導入補助金・攻略方法」「IT導入補助金・タダ乗り」などと謳う投稿が多数確認できる。
投稿を行なう業者にメッセージを送ると2社から返信があり、「ウィーチャット(中国版LINE)」の通話で、補助金申請に関する詳細の説明を受けることとなった。IT導入補助金のベンダーだというA社の担当者は若い女性で、慣れた様子で説明を始めた。
「まず弊社にそちらの会社の決算書や会社謄本、納税証明書などの資料を送ってもらいます。申請はほぼ100%通ります。弊社は事務局に御社が約570万円分のITツールを購入予定だと報告します。そうすればIT導入補助金の最大額となる『350万円』の支給対象となります」
続けて具体的な利益額の説明があった。
「ITツール購入の名目で570万円を弊社に振り込んでもらいます。その後、こちらから“現金”で350万円を御社に返金。そうすれば事務局から振り込まれる350万円と合わせて700万円が手元に残る。実際に支払った570万円の差額である130万円が御社の利益となります」