*13:06JST ユニリタ Research Memo(6):新たにグループパーパスを制定。地域交通課題解決の取り組み前進
■ユニリタ<3800>の主な活動実績
1. グループパーパスの策定
社名変更から10年という節目を迎え、同社グループのパーパス(存在意義)を改めて見直すとともに、ミッション、ビジョン、バリューといった理念体系を整理した。2025年6月に公表したパーパス「利他で紡ぐ経済をつくる」には、「ITという見えない糸」によって利他の連鎖を起こし、価値を紡ぎ、その価値が社会全体へと広がり、すべてのステークホルダーに恩恵をもたらす、「三方ともに良し」の経済へとつなげていくという想いが込められている。パーパスの実現に向け、ミッション「Create Your Business Value 〜ITの力で、一歩先の未来を創造する〜」、ビジョン「共感をカタチにし、ユニークを創造するユニリタグループへ」、バリュー「ユニーク&利他」を行動指針とするパーパスストーリーを歩んでいく考えだ。
2. 地域交通課題の解決に向けた取り組み
2025年3月に、同社グループのユニ・トランドが、国土交通省による「交通空白」解消を目的とする『「交通空白」解消・官民連携プラットフォーム』に参画したことを公表した。これは国土交通省が主導する官民連携の取り組みで、バスや鉄道の縮小により移動手段が限られる地域における「交通空白」の課題解決を目指すものである。ユニ・トランドは、「交通×DX」の視点から、データの収集・可視化・分析を通じ、これまでの実績と知見を生かした「ソリューションの提供」「パイロットプロジェクトの協働」「ナレッジの共有」により持続可能な交通手段の構築を支援しており、これまでも福島県三春町(定額会員制タクシーとバスロケーションシステムの導入)、香川県坂出市(地域住民向けキャッシュレス決済によるバス運賃割引の導入)、山形県長井市(デジタル技術による公共交通の利便性向上と運行最適化)、北海道岩内町(キャッシュレス決済とデータ活用による持続可能な地域交通の実現)などで実績を挙げてきた。なかでも香川県坂出市や北海道岩内町などに導入している交通DXアプリケーションサービス「Community MaaS」は、複数の公共交通機関に加え、移動先の商業施設・地域施設・自治体などが提供する「移動の目的を促すサービス」を最適に組み合わせて連携させることができるため、決済業務の効率化にとどまらず、共創型まちづくりを支えるものとして各自治体や交通事業者の注目を集めている。
■業績見通し
2026年3月期は戦略的パートナーとの連携を強化し、増収増益を見込む
1. 2026年3月期の業績予想
2026年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比7.0%増の12,500百万円、営業利益を同24.9%増の1,050百万円、経常利益を同19.8%増の1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同18.6%増の850百万円と増収増益を見込んでいる。
売上高は、引き続き「プロダクトサービス」が好調に推移するとともに、2025年3月期に伸び悩んだ「クラウドサービス」のテコ入れに取り組む。特に戦略的パートナーとの協業やグループ連携を強化し、事業拡大に向けたボトルネック(課題)を解消する考えだ。また「プロフェッショナルサービス」についても、良好な受注環境を背景にコンサルティングやアウトソーシングが好調を維持するほか、主要パートナーからの受注が縮小したSI事業においては高付加価値領域へのシフトを進める考えだ。
損益面では、戦略的投資を継続しながらも、利益率の高い「プロダクトサービス」の伸びや「クラウドサービス」の黒字化、「プロフェッショナルサービス」の付加価値向上により大幅な増益を目指す。
2. 弊社の見方
不透明な経済情勢やエネルギー価格を含む物価高の影響には注意が必要であるものの、良好な受注環境が継続していることから、同社の業績予想は十分に達成可能と見られる。今後、特に注目されるのは、成長ドライバーと位置付けられる「クラウドサービス」の強化策である。単に業績面での実績を追うだけでなく、戦略的パートナーとの協業やグループ連携に向けた具体的な動きなど、前期の停滞感を打ち破るような展開が期待される。ある程度時間を要すると見込んでいたソーシャルクラウド(地域交通の課題解決)についても、具体的な案件が形になってきており、今後どのように業績へ寄与してくるのかを見定める必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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