*13:44JST 矢作建 Research Memo(4):売上債権の増加を有利子負債で調達するも、自己資本比率は47.7%と高水準を維持
■業績動向
4. 財務状況と経営指標
矢作建設工業<1870>の2025年3月期末の総資産は18,220百万円増加し、144,220百万円となった。主な増加要因は完成工事未収入金等(受取手形、電子記録債権含む)が18,560万円増加したことによる。そのほかの資産の増減は現金及び預金が4,318百万円減少、販売用不動産が962百万円増加、有形固定資産が2,010百万円減少した。
負債は合計15,923百万円増加したが、主な増加要因は有利子負債が長短合計で16,200百万円増加したことである。そのほか、工事未払金が3,441百万円増加、未成工事受入金が1,495百万円増加、未払法人税等が4,298百万円減少した。純資産合計は68,835百万円(前期末比2,297百万円増)となった。
完成工事未収入金が大幅増加した要因は、期末にかけて、大府東海開発プロジェクトを中心とした大型の建設工事が進捗したことによるものである。一方、コロナ禍以降積み増していた手元資金の保有水準の見直しや、工事の施工進捗に伴う協力業者への支払いなどによって、現金及び預金が減少し、有利子負債が増加した。
なお、同社は、D/Eレシオは1.0倍以内、自己資本比率は40%以上を意識したうえで、有利子負債を活用する方針としているが、D/Eレシオは0.56倍に留まり、自己資本比率は47.7%と高水準を維持した。また、流動比率も195.0%と健全な水準を維持した。
5. キャッシュ・フローの状況
2025年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは、17,191百万円の支出となった。主な収入は、税金等調整前当期純利益8,163百万円、減価償却費1,050百万円、仕入債務の増加3,440百万円、未成工事受入金の増加1,495百万円であった。一方、主な支出は、売上債権の増加18,559百万円、棚卸資産の増加728百万円、未払消費税の減少5,475百万円、法人税等の支払額5,853百万円であった。投資活動によるキャッシュ・フローは255百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは13,149百万円の収入であった。主な増減要因は長短借入金の増加が16,200百万円、配当金の支払が3,038百万円となった。
この結果、2025年3月期末の現金及び現金同等物は4,298百万円減少し、同期末残高は15,619百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉俊輔)
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