年金受給開始のタイミングをどう見極めるか(イメージ)
定年後の選択を間違えると、その後何十年にもわたって苦しい生活が続く一方、正しい決断をすれば充実の後半生が待っている。年金受給の方法で「遅咲き老後」と「落ちぶれ老後」を分ける境界線はどこにあるのか──。
年金の受け取り方で資産寿命を調整することは可能だ。年金は1年繰り下げると8.4%増額となる一方、1年繰り上げると4.8%減額される。家計に詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏は「自分の財産で生活できるうちは年金を繰り下げるといい」と語る。
「繰り上げ受給を選んだものの、繰り下げた人の年金の手厚さを知って後悔するケースが目立ちます。年間の受給額が大きいほうが生活の満足度は高くなります」
1か月単位で受給時期を調整可能なので、生活できるうちは繰り下げを検討することもできる。
「70歳まで繰り下げると年金が月20万円の人は約28万円に。65歳受給と比べると81歳で受給総額が逆転します」(同前)
繰り上げ受給の落とし穴は他にもある。
「いったん年金受給を開始すると、年金額を増やせる国民年金の任意加入や保険料追納ができなくなる。再雇用で働いていて万一失業した場合は失業給付を受け取る期間は厚生年金が支給停止されるなど、かえって不利になることがある点にも注意が必要です」(同前)
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※週刊ポスト2025年8月15・22日号