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田代尚機のチャイナ・リサーチ
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中国本土市場「需要不足、供給過剰、デフレ下」での株高のなぜ 不動産不況が続くなか相次いで打ち出される発展戦略を市場が評価、強気相場は始まったばかりか

中国本土株式市場が上昇トレンドに(8月28日。Getty Images)

中国本土株式市場が上昇トレンドに(8月28日。Getty Images)

 中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。中国経済の今の姿と中国本土株式市場の活況についてレポートする。

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 中国本土株式市場が活況を取り戻している。上海総合指数は8月26日、ザラ場で3888.60ポイントを付けており、2015年8月18日以来の高値を更新した。その後利益確定売りに押される局面もあったが、その後は戻し、9月2日終値は3858.13ポイントで引けている。今年に入ってからの最安値はトランプ相互関税ショックの影響を受けて売られた4月7日の3040.69ポイントであり、9月2日までの上昇率は27%に達している。

 一方、中国のファンダメンタルズをみると、景気はむしろ低迷している。中国国家統計局が8月31日に発表した8月の製造業PMIは前月と比べれば0.1ポイントほど回復したとはいえ、5か月連続で景気拡大、縮小の分岐点となる50を下回っている。

 7月までの経済指標を整理すると、生産は底堅く、輸出は相互関税政策の影響がある中でも3月以降、前年同月比プラスを確保、むしろ好調といって良いぐらいだ。しかし、消費は5月にピークアウトしており、固定資産投資は6月以降、急速に悪化している。特に不動産投資が厳しく、1~7月までの累計で12.0%減と悪化が止まらない。不動産在庫(面積)の増加率については2023年末あたりでピークアウトしてはいるものの、7月末時点でも3.4%増とプラス圏にあり、在庫調整が進行中だ。物価をみれば、7月の消費者物価指数は前月と変わらず、生産者物価指数は3.6%下落で34か月連続で下落している。

 本土市場は、いわば“需要不足、供給過剰、デフレ下”での株高といった状態なのだが、投資家は何に着目して本土株を買っているのだろうか。

 まず、今年の最安値からの急回復は、トランプ相互関税政策、半導体封じ込め政策の無力化が要因だ。モーターの主要部品である強力な磁石、発光ダイオードー、電池、センサーなどの電子部品に加え、発色、紫外線吸収、ガラスの着色、触媒などの添加剤として使用されるレアアース、特に重希土類について、中国がほぼ独占に近いような高いシェアを有している。中国がレアアースの生産流通管理を大幅に強化、輸出を許可制とした上で、米国への供給を制限する動きを見せたことで、米国は中国に対して強く当たることが難しくなった。

 半導体の封じ込め無力化については、国内半導体メーカーの成長が挙げられる。少なくともH20クラスのAI半導体については自給の目途が立ってきたことで、AI開発における大きな弱点が克服されつつある。

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