都内全体での人口増予測は113位だった住吉
「新宿」をスタートして、繁華街の「新宿三丁目」、副都心の「市ヶ谷」、皇居にも近い「九段下」「神保町」を経由して城東の「住吉」「西大島」などを通る都営新宿線。沿線には多くの人気駅が含まれるが、そのなかでも将来の不動産価格上昇が期待できる駅があると識者は見る。
国税庁が発表した「2025年(令和7年)分の路線価」によれば、全国の標準宅地の平均変動率は前年比2.7%増。2010年以降で最大の伸びを記録している。さらに、都営新宿線沿線も含めた東京都の上昇率は平均8.1%増と全国平均を大きく上回っている。
都心部の不動産バブルが囁かれるような状況だが、その一方で少子高齢化の波は東京にも押し寄せることになる。遠くない将来には都内の人口もピークアウトすると見られている。つまり、同一沿線内でも、「駅」によって勝ち組と負け組が分かれる可能性があるのだ。
そこで「駅」ごとの将来像を可視化したのが、不動産コンサルタント会社リーウェイズのAI分析だ。5億件以上の物件データと、国土技術政策総合研究所が2024年に公表した『将来人口・世帯予測ツール』をもとに、2025年と2035年の予測人口を比較している。不動産価格と密接に関わるとされる人口増減を駅単位で算出し、ランキング化したのだ。都内ベスト200とワースト200のうち、都営新宿線の駅に絞って分析すると、本八幡(千葉県)を除く都内20駅のうちベスト200にランクインしたのは9駅、同ワースト200に入ったのは3駅だった。
交通の便が飛躍的に上昇する可能性
「人口増減はその地域の不動産価格に直結する重要な要素」とするのは不動産市場に詳しい株式会社さくら事務所代表取締役副社長でCOOの山本直彌氏だ。山本氏とともに都営新宿線のランキングを見ていくと、最上位に大手町へのアクセスのいい市ヶ谷、再開発の進む浜町といった駅が並び、「それに続く菊川や森下といった上位の駅は、JRの有力駅が近くあって居住者がその恩恵を受けられることが大きい」(山本氏)と分析できる。