いまの大学入試では推薦入試が多くを占めている
大学入試の半分が推薦入試となる時代。総合型選抜が拡大するとの報道もあるが、実際に増えているのは指定校推薦や内部進学だ。推薦入試の内実を読み解く。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする「“推薦入試”時代の真実」。【全3回の第1回】
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大学入試の半分が推薦入試になっている。その流れの中で、推薦入試、特に総合型選抜に関する報道も増えた。たとえば、大手新聞社系ウェブサイトの記事に、ある著名人が登場。教育ビジネスに乗り出したそうで「すでに大学入試の半分が総合型選抜になってきている」とコメントしていた。これは明らかに間違いだ。
確かに2025年の大学入学者の半分は推薦入試組になっているが、総合型選抜は全体の16%に過ぎず、推薦入試の大半は昔ながらの指定校推薦なのだ。
さて、そもそも、なぜ、推薦入試が拡大するのか。
それは少子化で一般入試だけでは選抜ができなくなるからだ。
すでに私立大学の6割が定員割れをしており、全入に近い。そうなると、一般選抜を受験した学生は全員が合格になり、ボーダーフリーになる。一方で、推薦入試の場合、評定平均値いくつ以上といった条件があるので、推薦入試組の学力はボーダーフリーにならない。推薦入試の拡大は「非認知能力が重要だから」「コミュニケーション能力が必要だから」というのは”非認知能力ビジネス”で稼ごうとしている業者のポジショントークに過ぎない。
学力が高い学生をとっていくことを考えると将来的に推薦入試の方が効率的になるというだけだ。その将来を見越して、どの大学も推薦入試に力を入れているわけだ。
一般選抜が中心の難関大学を取材していても、「年々、学生の学力が下がってきている」という。そのため、難関大学も中堅大学も推薦入試に本腰を入れざるを得ないのだ。