組織で働くうえでチームワークは重要(Getty Images)
若い世代の人材育成やベンチャー支援事業などを手掛けるグローバルパートナーズ株式会社で、社員たちが音楽に合わせて一斉に踊る「ゾス飲みダンス」動画がSNS上で拡散し、大きな波紋を呼んでいる。社員が一同に介し一斉に踊る様子を、企業風土としてどう評価すべきか。イトモス研究所所長・小倉健一氏が、海外の研究事例を踏まえて考察する。
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グローバルパートナーズ株式会社の表彰式で、社員たちが花のレイを首にかけ、音楽に合わせて一斉に踊る、通称「ゾス飲みダンス」動画が、X上で5500万回以上閲覧された。投稿者は総務部マネージャーで、キャプションには「盛り上がってきたーーーーー!!!!」と記されている。社員たちは腕を振ったりポーズを取ったりするシンプルな振り付けを、社長の誕生日祝いとして披露した。こうした光景は、1990年代のクラブダンス「パラパラ」を思わせる。動画は社長の山本康二氏がシェアし、「社員達から誕生日祝いとダンス披露してくれた。ありがとう!」と感謝の言葉を添えている。この出来事は、社内イベントとして撮影されたもののようだが、外部に公開されたことで大きな反響を呼んだ。
この動画に対して、ネット上では批判の声が殺到・炎上した。「キモい」「ヤベエ」「宗教みたい」「部外者に晒すな」との意見が相次ぎ、旧来型企業の体育会系文化の象徴として叩かれた。例えば、ある投稿では「会社でこんなことやらされるの?オレ、絶対に半日で辞めると思う」との辛辣な言葉まで見られる。
だが、こうした批判は、単なる無理解の産物であろう。批判者たちは、社内ノリを外部の視点で切り取るだけで、会社の文脈を無視している。例えて言うなら、家族の誕生日パーティーで皆が歌を歌うのを、隣人が「うるさい」と文句を言うようなものだ。会社の内部で生まれる結束を、外部から冷ややかに嘲る行為は、ただの嫉妬に過ぎない。批判者たちは、自分たちの日常がどれほど味気ないかを思い知るべきだ。こうした声は、会社の成長を阻害する毒でしかない。無慈悲に言えば、批判はただの雑音であり、会社の活力に何の影響も与えない。批判者たちは、自身の職場で同じようなイベントを試みてみればいい。きっと、孤立した日常の空虚さを痛感するはずだ。
一方で、グローバルパートナーズの取り組みを、私はそんなに悪いことだと思っていない。光通信株式会社出身の山本社長が持ち込んだ「ゾス!」という合言葉は、気合を入れる挨拶として社内に根付いている。会社は“日本一若者を信じる”ベンチャー企業として、海外進出支援や人材育成を事業に掲げ、リモートワークや教育支援を導入している。ゾス文化は、生産性向上のための制度と組み合わせ、社員が自発的に成長する環境を整えている。動画のようなイベントは、社内結束を強める手段として機能し、離職率の低下やマッチングの向上につながっているのではないか。こうした理念が、社員のモチベーションを静かに支え、会社の成長を後押ししているはずだ。
