クマ被害の拡大で、登山ファンにも意識変化が起こっている(イメージ)
全国的にクマの出没が激増し、被害も相次いでいるなか、日本郵便は11月5日、一時的に集配業務などの見合わせを行なう場合があることを発表した。市井でも不安を抱える人は多く、登山計画の変更を余儀なくされるケースも増えているようだ。
山の天気サイト「てんきとくらす」を運営する日本気象株式会社の調査によれば、クマの出没増により77%が「不安で慎重になったり、登山をためらう」と回答。登山計画への影響は過半数の52.8%が「ある」と回答した。また、具体的な影響については「行く山を変更した」が61.6%と最多、次いで「安全対策を強化した」が39.9%だった。
登山者がクマの出没情報に敏感になっていることがうかがえるが、同社ではAI技術を活用し、人の生活圏におけるクマとの遭遇リスクを示す「クマ遭遇リスクマップ」を開発している。同社ICTソリューション部の末田晃太さんに、クマ被害の傾向と対策について話を聞いた。
具体的な安全対策に動いている傾向
まず、レジャーとしての登山人気について。コロナ禍を境に一時落ち着いたものの、最近は「回復傾向」が感じられていたという。
「『てんきとくらす』は20代~50代の皆さまに広くご利用いただいていおり、サイト内検索で人気のある山は、順に富士山、木曽駒ヶ岳、茶臼岳、谷川岳、唐松岳です。高山でも登山の難易度がそこまで高くなく、ロープウェイ等で標高の高い地点まで行くことができる山が人気のようです」(末田さん、以下同)
また、クマの被害報告が毎日のように伝えられるなか、対策意識に関して世代ごとの特徴の違いはあるのか。
「全世代で対策意識の高まりがみられましたが、なかでも20代は、約81%が意識の変化を感じるとともに、不安からそもそもの登山をためらう傾向が他の世代よりも多く見られました。50代では約77%が意識の変化があったとしたうえで、多くの人が“より慎重に行動するようになった”と回答しました。登山経験が比較的豊富なこの層は、登山を控えるのではなく、装備強化やルート変更など具体的な安全対策に動いている傾向がみられます」
