「元リク」であることが議員活動にどう活きているのか(国民民主党の伊藤孝惠・参院議員)
史上最大規模となる2026年サッカーワールドカップが開催目前。そのワールドカップの放映権を取得したと噂されるDAZNジャパン社長の笹本裕氏。Jリーグの収益を2倍にし、日本サッカーを史上最強にしたチェアマン(2014~2022年)の村井満氏。両氏の共通点は、リクルート出身、俗に言う「元リク」という点だ。各界に挑戦的な人材を輩出しているリクルートだが、じつは国会議員にも、辻清人氏(自民党)ら5人の「元リク」がいる。
今回、『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』の著者でジャーナリストの大西康之氏が、「元リク」女性の一人、参院議員・伊藤孝惠氏(国民民主党)に話を聞いた。同党は7月の参議院選挙で17議席を獲得し(伊藤氏は非改選)、自民・公明の過半数割れで石破政権は退陣に追い込まれて高市政権が誕生。国会では野党の存在感も高まるなか、リクルート仕込みの「まだ、ここにない政策」を実現できるか。【インタビュー・全3回の第1回】
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――伊藤さんはそもそもなぜリクルートに入ったんですか? 新卒入社はテレビ大阪で、営業や事件記者、ドキュメンタリー制作をやっていますよね。
伊藤:テレビ大阪では約8年間働きました。大阪府警記者クラブでサブキャップとして事件取材をしながら、若年無業者(ニート)問題をテーマにした番組で「TXNドキュメンタリー大賞」をいただくなど、充実した毎日ではありましたが、上司夫妻が犠牲になったJR福知山線脱線事故の取材をきっかけに、資生堂に転職しました。
ところが4ヵ月で辞めてしまい、そんなとき、「君にぴったりの会社があるよ」と、人材紹介会社エリートネットワークの転職カウンセラー、元リクの高橋寛さんに言われたんです。
高橋さんに言われるまま、リクルートに面接に出かけた先で出会ったのが人事部の石綿(純氏、当時、人事部で中途採用を担当)さん。15分ほど話した後、「この後、SPIを受けていく時間ある?」と言われました。まるで「コーヒー、もう一杯どう?」くらいのフランクさで。そして、翌日には内定をいただきました。
――SPIというのは創業期のリクルートが生み出した職業適性検査ですね。
伊藤:はい。後日談になりますが、石綿さんが語った私の第一印象は、「まだこんなリクルートっぽい子がいたんだ」「SPIもそんな感じ」だったそうで、当時のリクルートはSPIの「性格検査」を重視していたのかもしれません。
面接の際、「リクルートのどの部署で働きたい?」と石綿さんに聞かれたので、「いちばんリクルートっぽい部署。これぞリクルートみたいな部署で働きたいです」と答えたからか、今までの経歴とはまったく無縁の、住宅情報(現・SUUMO)カンパニー戸建てデベロッパーグループに配属されました。デベロッパーやハウスメーカーの経営戦略にコミットする一方で、街の不動産屋さんに飛び込み営業もする、クリエイティブな職場です(笑)。
