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「唐揚げ店が静かに姿を消している」飲食店の倒産が過去最悪ペース 立ちはだかるのは「本音の口コミ」、消費者の信頼を勝ち得るために求められる施策とは

ブームが終焉し多くの唐揚げ専門店が姿を消している(写真:イメージマート)

ブームが終焉し多くの唐揚げ専門店が姿を消している(写真:イメージマート)

 忘年会シーズンが到来しているが、飲食店は苦境が続いている。2025年の飲食店の倒産は過去最悪のペースとなっている。いま飲食店が生き残るために、どのような施策が必要なのか。消費者の行動原理についての研究論文を紐解きながら、イトモス研究所所長・小倉健一氏が解き明かす。

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 街角でふと足を止めると、以前まで路上で焼きたての匂いを漂わせていた唐揚げ専門店が、いつの間にか看板を下ろしていた。シャッターには一枚の張り紙があり、短い言葉で閉店を告げている。

 少し前の唐揚げブームに乗じて雨後の筍のように唐揚げ専門店たちが、今や静かに姿を消しているのだ。帝国データバンクが発表した「全国企業倒産集計2025年11月報」によると、持ち帰りを中心とした唐揚げ店の倒産はピークとなった2023年と比べれば減っているものの、市場からの退出は後を絶たないという。これは単なる一角の出来事ではない。飲食業界全体を覆う、巨大な淘汰の波のほんの一部に過ぎないのではないか。

 2025年、飲食店の倒産件数はかつてない水準に達しようとしている。同報告書によれば、1月から11月までの累計で飲食店の倒産は820件を記録した。このままのペースで推移すれば、過去最多であった2024年の894件を上回り、史上初めて年間900件の大台を突破する可能性が高い。特に負債5000万円未満の小規模事業者が全体の7割以上を占めている点は見逃せない。コロナ禍で得た協力金によって延命したものの、その後の原材料費高騰や人手不足、そして激化する競争に耐え切れず、事業継続を断念するケースが相次いでいるのである。

 忘年会や新年会といったかき入れ時を迎えながらも、多くの飲食店経営者が廃業を選択せざるを得ない現状がある。美味しい料理を提供すれば客は来る、という素朴な信念だけでは、もはやこの荒波を乗り越えることは難しい。生き残るために必要なのは、料理の味を磨くこと以上に、その価値を客へ確実に届けるための戦略、すなわち「情報の伝達」にあるといえる。

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