「実家を解体してアパート経営」に潜む落とし穴とは(イメージ)
親の暮らす「実家」について、老朽化や空き家問題もあり、処分するか相続するか悩む人は多い。選択次第で思い出深い実家は価値ある財産にも、大きな負担にもなる。実家じまいに潜むリスクについて、専門家に聞いた。
実家じまいには、「更地にして土地を保有する」「賃貸物件として活用する」などの選択肢もあるが、その決断にはより慎重な検討が必要だ。相続に関する情報を自身のYouTubeチャンネルで発信する、税理士の勝部貴史氏(勝部税理士事務所代表)が言う。
「自宅を更地にして保有する場合はエリアの不動産需要を見極める必要があります。将来的に売却できる見通しがあり、更地にした土地で一時的に駐車場経営などを行なう計画がある場合は問題ありません。ただ、そうした計画がないまま更地にしてしまうと、固定資産税が減額される『住宅用地の特例(200平米までの部分の課税標準額を6分の1にする軽減措置)』から除外されてしまい、建物があった時と比べて実質3~4倍の固定資産税が課されるケースが一般的です」
解体してアパート建設はリスクが大きい
親の老人ホームなどへの入居を機に、実家をリフォームし賃貸物件として活用する手もあるが、そこにはこんな落とし穴もあるという。
「実家を賃貸に出して賃料収入があるのは良いことのように思えますが、親の財産が増えることになり、将来的には相続税の負担が増します。また、賃貸開始後に親が認知症になるリスクも考慮する必要がある。持ち主である親が認知症になると、不動産の売買や賃貸借契約ができなくなり、成年後見制度を利用しないと実家について『何もできない状態』に陥る可能性があります」(同前)
そのような事態を回避するには、認知症になる前に『家族信託』を利用し、不動産の管理処分権限を家族に託しておくなどの対策が必要だという。
また、よくある相続対策として、実家を壊しアパートを建てて賃料収入を得るパターンがあるが、勝部氏は「非常にリスクが高い」と警告する。
「金融機関から融資を受けてアパートなどを建てた場合、物件エリアの賃貸需要が落ち、空室率が高い状況が続くと、ローン返済が家賃収入を上回る事態もあり得ます。相続対策のはずが、結果として財産を減らすことになり、非常にリスクが高いと言わざるを得ません」
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※週刊ポスト2026年1月30日号
