EVバスを販売するEVモーターズ・ジャパンの本社社屋(撮影/加藤博人)
環境に優しい次代の乗り物として期待され、すでに公道を走る電気自動車(EV)バスに故障が続発している。北九州市の新興企業が“国産EVバス”を謳い文句に全国の自治体や企業に売り込んできたが、その実態は中国メーカーが製造したものであり、相次ぐ不具合を受け、国土交通省も立ち入り検査に踏み込んだ。いち早く問題を追及し、関係者の証言を集めてきた自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏がレポートする。【第1回】
実証実験開始2日で制御不能の事故
沖縄県石垣島と宮古島のほぼ中間に位置する多良間島(多良間村)。周囲をサンゴ礁に囲まれた人口約1000人の熱帯の島で、自動運転の実証実験中のEVバスが突如、制御不能になった。勢いを保ったまま縁石に乗り上げ、街路樹に衝突する事故が起きたのだ。
このバスは昨年2月にヒトが運転するEVバスとして沖縄県が購入し、多良間村に納入されたものだが、その後、自動運転バスに作り替えられた。自動運転の実験が始まったのは今年1月13日で、事故はそのわずか2日後の同月15日に起きた。
事故を起こしたバスは、北九州市に本社を構える新興企業、EVモーターズ・ジャパン(以下、EVMJ)が販売したものだが、多良間村以外でも故障やトラブルが続出している。
例えば福岡県筑後市の公立小学校で、日本初のEVスクールバスとして昨年4月に運行を開始した4台の同社のバスは、自動ドアの開閉ができない、交差点で突然止まる、ブレーキが利かないなど、重大事故につながりかねない不具合が発生。結局、運行開始からわずか2週間で4台すべてが使用停止となった。
このトラブル続きのEVバスは、昨年開催された大阪・関西万博では一社独占で150台が導入された華々しい実績を持つ。万博関係者が語る。
「万博においてEVバスの導入を検討していた当初は、中国のEVメーカー大手であるBYD社のバスが有力候補でした。しかし、検討を進めるなかで、『万博という日本の技術を世界にアピールする場で国産のEVバスを使いたい』といった意見が出され、国産EVバスメーカーとして大々的にアピールしていたEVMJのバスが俎上に載ったのです」
協議の結果、運行事業者の大阪メトロが万博の来場者の足として会場内で使う小型バス35台と、会場とJR桜島駅や駐車場を結ぶシャトルバスとして大型バス115台を購入した。
自民党衆院議員の西村康稔氏は万博開幕直後にXで、自身が経産相だった採用当時の状況を振り返っている(2025年4月15日の投稿)。
〈大阪のバス会社が中国製EVバスの導入を進めていたことに危機感を持ち、日本企業製のバスの導入を奨励しました〉としたうえで、民間の取引のため強制はできないとしつつも、EVMJ製造のバスが採用された実績を紹介し、〈全体で約9割が日本企業製造のバスです〉と胸を張った。
しかし、である。
EVMJはたしかに日本企業だが、実態としては中国メーカーが製造したEVバスを日本で販売しているに過ぎないのだ。(*編注:詳細は関連記事参照)
