*10:57JST ハークスレイ Research Memo(7):食のサプライチェーンの上流(農産部門)に進出:植物工場を買収
■成長戦略・トピック
1. 中期経営目標の概要と進捗
ハークスレイ<7561>は、4ヶ年の中期経営目標(2025年3月期~2028年3月期)の達成に向けて取り組みを進めている(2年目が終了)。これまで以上に積極的な成長投資を実行することで事業領域を拡大し、事業の成長と収益拡大により企業価値を高めて持続的成長を目指す。成長投資は、物流・食品加工事業を中心に178億円(M&A120億円、設備投資58億円)規模を見込んでおり、食品製造、冷凍食品製造、菓子製造、農産物・水産物・畜産物の生産や加工業など新領域のM&Aにも挑戦する。経営目標は、2028年3月期にROE8.3%(2024年3月期比1.4ポイント上昇)、年間配当金35.0円、DOE2.1%、売上高720億円(同54.1%増)、EBITDA56億円(同47.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億円(同56.3%増)としている。業績の拡大とともに株主還元の充実を目指す内容となっている。
2. 物流・食品加工事業:食のサプライチェーンの上流(農産部門)に進出:植物工場を買収
同社はありたい姿(長期ビジョン)として、「食料の生産、加工、物流および消費に関わる一連の活動をプロデュースする企業グループ」を掲げている。食分野のサプライチェーンである、生産(農林・水産物)、食品加工・製造、流通・卸、小売をインテグレーションし、全体で利益を創出し、負けない経営基盤を構築する構想である。近年同社が力を入れているのが上流・中流分野(生産、加工・製造)であり、「物流・食品加工事業」を成長ドライバーとして、M&Aやオーガニックな成長を達成している。成長戦略の中では、サプライチェーンの最上流である「農産物・水産物・畜産物の生産・加工」も事業領域に掲げる。
2026年3月には、農産部門として、Jリーフを子会社化した。この会社は、国内最大規模の完全人工光型植物工場(成田ファーム)を運営し、工場内では、植物の生長に必要な条件を最適に制御した清潔な環境下で、日産3万株のリーフ系レタスを生産する。この工場は、都心へのアクセスが良い好立地(東関東自動車道酒々井ICまで30分、圏央道松尾横芝ICまで15分)にあり、首都圏への供給に有利となっている。植物工場は、農産分野における社会課題である、生産者の高齢化などによる人材不足、気象変動や災害の影響などへの対策としても注目されている。同社では、販売先の開拓、商品開発、物流、人材など幅広いシナジー効果を見込んでいる。
3. 過去のM&Aの振り返りと今後
同社は、2000年代からM&A戦略を中心とした多角化により成長してきたユニークな企業である。「中食事業」の基盤を固めるべく、2010年代に進出したのが「店舗アセット&ソリューション事業」であるが、当時赤字経営であったTRNコーポレーションは、現在ではグループの稼ぎ頭の事業となっている。2020年代には、食品メーカーに焦点を移し、稲葉ピ-ナツ、ホソヤコーポレーションの大型M&Aを実現した。今後も中期経営目標に沿って、「物流・食品加工事業(農産・水産・畜産を含む)」を中心にM&Aが検討されることになるだろう。日々案件が持ち込まれ、検討されている状況であるが、シナジーや立て直しの価値を深く吟味するという。同社の得意パターンは、窮境にある企業をプラットフォームやノウハウで立て直す「ターンアラウンド・企業再生」型または、事業承継を機により大きなフィールドで価値最大化を図る「事業承継」型である。現在進行中の中期経営目標のM&A予算120億円のうち、現在は46億円が投資された。今後2年間のうちに、大型のM&Aの実現も想定される。
■株主還元策
「前年を下回らない増配」を掲げ、2027年3月期は5期連続増配を予想
同社は、安定的な配当の継続を基本方針とし、将来に向けた成長投資に利益を配分するとともに、株主への利益還元重視の姿勢をより明確にするため、1株当たり当期純利益の伸長に合わせて「前年を下回らない増配を目指す」としている。中期経営目標では最終年度の2028年3月期に年間配当35.0円とする目標を掲げており、毎年2.0円から3.0円前後の増配ペースが期待できる。2026年3月期は、好調な業績を背景に、年間配当28.0円(前期比2.0円増配、中間期14.0円、期末14.0円)、配当性向34.9%となった。2027年3月期は、年間配当30.0円(同2.0円増配、中間期15.0円、期末15.0円)、配当性向34.7%を予想する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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