DeNAへの15億円補助の効果は(Getty Images)
経済産業省が、ディー・エヌ・エー(DeNA)のスマホゲーム開発に、最大15億円を補助することが報じられ、注目を集めている。国による産業支援はどうあるべきか、イトモス研究所所長・小倉健一氏が考察する。
日本の自動車産業はなぜ発展したか
経済産業省が、DeNAのゲーム開発に最大15億円を補助するという。これを支持する側は、コンテンツ産業を次の自動車産業に育てるためには、国が先頭に立つ必要があると説く。自民党の山下貴司・衆院議員も、ABEMA Prime(7月8日放送)で「戦後の自動車産業は国を挙げて育てたから世界で勝てた、だからゲーム産業にも同じ発想が必要だ」という趣旨の主張をしていた。
だが、この認識は根本から間違っているのではないか。日本の自動車産業は、政府が未来の勝者を見抜き、正しい企業に資金を配ったから成長したのではない。むしろ政府は、後に世界企業となる新規参入者を市場から締め出そうとした。象徴的なのがホンダである。
1960年代初め、通商産業省は自動車メーカーの集約を進め、新規参入を抑える構想を持っていた。1961年に検討された特定産業振興臨時措置法案は、産業ごとに政府が「適正な企業」を選び、設備投資や再編を誘導する発想に立っていた。自動車産業では、既存メーカーを中心に業界を整理しようとしていた。二輪車メーカーだったホンダは、そのままでは四輪車市場への参入を阻まれる立場にあった。
本田宗一郎はこの動きに強く反発した。政府に育ててもらう道を選んだのではない。政府が門を閉じる前に四輪車へ参入するため、開発を急いだのである。ホンダが世界的な自動車メーカーになったのは、官僚がその将来性を見抜いたからではない。官僚の判断に逆らい、自ら資金を出し、自ら失敗の責任を負い、市場で勝ち残ったからである。
この部分を取り違えてはいけない。確かに、戦後の日本政府は自動車産業に関与した。輸入車を制限し、外国資本の参入を管理し、政府系金融機関を通じて資金を供給し、道路を整備し、部品産業の技術力向上を後押しした。だから「国は何もしなかった」という説明も正しくない。
しかし、道路整備や金融制度、貿易政策と、特定企業の特定商品に税金を入れることは全く別の政策である。前者は産業全体の共通条件を整える。後者は官僚が個別企業を選び、その企業の投資リスクを納税者に負わせる。
