JR西日本の特急「くろしお」で使われている「パンダくろしお」
JR西日本グループは、今年4月に公表した「中期経営計画2030」で、5年間で2.6兆円という、同グループで過去最大規模の投資を行うことを示し、基本方針として2つの変革を掲げた。なぜこれほどの投資をして変革を進めるのか。交通技術解説者・川辺謙一氏がJR西日本を取材、レポートする。
意欲的な事業ポートフォリオの変革
「中期経営計画2030」は、JR西日本グループが2026年度から5年間でどう変わるかを記した計画書だ。もちろん、同グループが2023年4月に発表した計画(「長期ビジョン2032」と「中期経営計画2025」)を踏まえ、経営環境の変化を反映して作成されている。
筆者は初めてこの計画を見たとき、「意欲的な変革」だと感じた。投資の金額が巨額であるだけでなく、経営の軸足を大きく変えるものだったからだ。
筆者がとくに注目したのは、基本方針として記された2つの変革だ。これは、「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」と「事業ポートフォリオの変革」で、前者には鉄道をふくむモビリティ分野の好循環を生むしくみ、後者には営業利益割合の推移が記されている。
この計画では、3つの重点分野(モビリティ分野・生活サービス分野・インフラソリューション分野)を掲げている。また、生活サービス分野とインフラソリューション分野が営業利益に占める割合は、2025年度に40%程度だったのに対して、2030年度には60%程度になることを示している。わずか5年間で、モビリティ分野の割合を逆転させることを明示しているのだ。それが「意欲的な変革」と感じた大きな理由だ。
営業利益に占めるモビリティ以外の分野の割合拡大を示す図。5年間で20%増加させる目標を示している。画像:「中期経営計画2030」14ページより引用

