自分が好きなことにチャレンジ(写真:イメージマート)
どんな仲睦まじい夫婦でも、いつか死別する時がくる。ひとりは寂しくて辛い……そう思い込みがちだが、実は正しい備えがあれば、孤独の生活は極上の喜びや楽しみを与えてくれるという。至福のひとり暮らしを実現する方法を探った。【全3回の第3回】
10代の忘れ物を取り戻す
守りを固めて人間関係を見直したら、いよいよひとりの時間を存分に愉しむ番だ。終活アドバイザーで行政書士の松尾拓也氏が、最終準備として指摘するのは「孤独の生活圏」の構築だ。
「友達や知り合いに囲まれて過ごす共同体ではなく、普段はひとりで好き勝手に暮らしながら、困った時に医療、介護、手続き、日常生活の助けへつながる範囲を、自分で組み立てておくという考え方です。
ポイントは守りを固める際に準備した病院や介護施設だけでなく、ひとりで立ち寄れる喫茶店や散歩道、図書館や映画館なども生活圏に含めること。日常生活を楽しむ場所と緊急時につながる場所が同じ生活圏内にあることで、日常のなかでリスクヘッジをしながら孤独を満喫することが可能になります」
松尾氏によると、孤独の生活圏は困った時に本人がSOSを出してから実際に助けが届くまで30分以内が目安になるという。そこでは「遠慮をやめる」ことが肝心だ。
「ひとりの人生を無難に過ごそうとすると“転ばないように”“人に迷惑をかけないように”“失敗しないように”などと心がけて生き方が狭まるばかりです。でもこれまで仕事や家族のために頑張って生きてきたのだから、老後くらい、遠慮せず自分が好きなことを突き詰めればいい。これまで遠慮してできなかったことにチャレンジすることが大切です」(同前)
その際、前もって予定を立てておく必要はない。誰とも会わない日を「予定がない日」とネガティブに捉えるのではなく、「自分が決定権を持つ日」とポジティブに考え、朝起きたらその日の気分で出かける場所を決めればいいのだ。
「行き先を決めずぶらり旅に出る、平日の昼から一杯ひっかける、見たかった映画を二本続けて鑑賞する、芝居や展覧会をハシゴする、夜更かしして読書にふけるなど、何をやってもOKです。
誰かと一緒だと相手の好みや体力、帰宅時間などを考えないといけませんが、ひとりなら全部自分で決めることができるうえ、途中で予定を変えたり、疲れたら帰ることもできる。孤独は行動を制限するのではなく、自分で何でも決められる権利を持つことなのです」(同前)
