*15:06JST 巴川コーポ Research Memo(6):モジュール化・部品化・装置化を通じ、さらなる成長を目指す(2)
■第9次中期経営計画について
新製品ポートフォリオの選別が進む
巴川コーポレーション<3878>の新製品の立ち上げにあたっては、すべての開発品を等しく推進するのではなく、限られた開発リソースを最大限有効活用すべく、収益性を基準とした選別が進んでいる点に注目したい。高性能ヒートシンクについては市場規模の大きさにもかかわらず、競合が多く低単価が求められる市場であり差別化での収益性確保が難しく、当面は積極的な展開を見送る方針とされている。技術的優位性を有していても価格プレミアムを確保できない領域には経営資源を投入しないという判断であり、限られた開発リソースを高付加価値領域へ集中させる姿勢の表れと言える。
こうした選別の結果、半導体・ディスプレイ関連事業の成長ドライバーは、フレキシブル面状ヒーターやOLED向け光学フィルムなど、高付加価値・高収益が見込める製品領域に一層集約されるとみられる。一方で、想定を上回る反応が得られているのがグリーンチップ(R) CMF(R)である。同製品は汎用プラスチックであるポリプロピレン(PP)樹脂に木材由来のセルロースファイバーを55%という高比率で均一配合した複合樹脂で、石油由来プラスチックの使用量を半減させ、製造から焼却処分までの過程におけるCO2排出量を石油由来樹脂比で約20%削減できる環境性能を持つ。
グリーンチップ(R) CMF(R)は、PP並みの物性を確保しながら射出成形時のタクトタイムが短くて済むという特徴を有するとされており、これを評価する引き合いが増えているという。同製品は環境対応という付加価値に加えて、採用企業の生産性向上という経済合理性を同時に提供し得る点に競争力の源泉がある。環境価値のみを訴求する製品に比べ、生産性改善という定量化可能な便益を伴う製品は、普及速度の面でも有利に働く。
主要課題3) ~8) 独自技術・新規市場・協業・DX/AI・人財・リスク管理
3) では新製品を通じて成長戦略を実現するために、相当規模の研究開発費と開発要員の投入を行う。
4) では、宇宙・環境・エネルギー・メディカル等の新分野への展開、トナー事業のインドなど有望市場への展開、グローバルな開発ワンストップ体制の拡充(国内・欧州・米国)を掲げる。「素材×素材」「素材×加工」「巴川×パートナー」という独自性で顧客の課題解決を支援し、断熱・保冷、宇宙・メディカルへの展開可能性を追求する。5) ではサプライチェーンの枠にとらわれない新パートナーの開拓や産学連携を進める。6) では情報プラットフォーム整備による業務の見える化・効率化に加え、製造面のFA化、開発面でのシミュレーション技術やマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用し、開発速度と生産性の向上を図る。成長を支える研究開発費・開発要員は引き続き相当規模を投入する方針で、2026年3月期の研究開発費は1,845百万円(試作収入相殺前の投資ベースでは2,647百万円)に上っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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