キャリア

「娘は不登校、義父は認知症に…」 安定職の共働きで「老後は安泰」と羨ましがられていた夫婦を襲った想定外の事態

家族が足かせになるケースも

 核家族が増え、かつてのように、シニア世代と現役世代が世帯をともにし、支え合うということもなくなった。そもそも親の面倒を見ようにも、子供や孫の給料水準は低く、そんな余裕がないのが実状だ。むしろ、家族こそが足かせになるケースもある。

 栃木県に住むCさん(58才)は、大学卒業後、地方公務員として勤務。夫も地元の会社に勤めるサラリーマンで、周囲からは「老後は安泰ね」とうらやましがられることも多いという。

 だが、いま彼女は想定外の事態に直面している。

「3人いる娘のうちの1人が、高校の途中から不登校になり、そのまま引きこもり状態になりました。高校を中退して8年になりますが、ずっと家にいて、自立するめどはまったく立ちません。さらに夫の父親が認知症で介護が必要になり、面倒を見るための費用もバカにならない。

 私も夫も定年を延長してできる限り働くつもりですが、将来どうなるのか、経済的な不安は増すばかりです」

 生活保護に関する知識を、YouTubeやSNSなどでわかりやすく発信することで「生活保護おじさん」として知られる、つくろい東京ファンド新規事業部長の佐々木大志郎さんの元にも、50代以上からの相談が増加しているという。

「コロナ禍の頃は、その影響で『仕事も住まいも失った』『路上で身動きがとれない』といった比較的若い世代からの緊急的な相談が大半を占めていました。コロナが少し落ち着いた2022年後半になるとそうした相談は減り、今度は物価高や光熱費の上昇で『これまでのように生活できない』『やりくりが苦しい』といったじわじわ生活苦を訴えるシニア層からの相談が目立ってきました」

 いったんお金に窮するとますます身動きが取れなくなり「悪循環に陥ってしまう」と続ける。

「お金があれば、環境を変えたり引っ越したりすることもできますが、お金がないと自分の身の回りをコントロールする力が弱くなる。福祉制度や支援団体の力を借りようという気力さえ失ってしまう人も多いのです」(佐々木さん)

※女性セブン2023年9月14日号


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