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大都市圏で「銀色の電車」が増えた3つの理由 塗装が不要で軽量化も実現

東京メトロ千代田線を走る16000系電車。大都市圏には、このような車体が銀色の電車が多い

東京メトロ千代田線を走る16000系電車。大都市圏には、このような車体が銀色の電車が多い

 鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人々の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術ライターの川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第8回は「銀色の電車」について。

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大都市圏に多い銀色の電車

 かつて日本の大都市圏の鉄道では、車体全体を塗装した電車が多く走っていました。戦前は車体が茶色や黒色の電車が多数ありましたが、戦後になってからは明るい色の塗装を施した電車が増えました。

 いっぽう、現在の大都市圏の鉄道では、車体が銀色で金属の表面が露出した電車(以下、銀色の電車)が多く走っています。とくに首都圏の鉄道では、新幹線の列車や特急列車を除くほとんどの列車が、銀色の電車で運転されています。

 なぜこれほどまでに銀色の電車が増えたのでしょうか。今回はその謎に迫ってみましょう。

銀色の電車が増えた3つの理由

 まずは結論から言います。銀色の電車が増えた理由としては、おもに次の3つが挙げられます。

【1】構体の塗装を省略できる
【2】塗装設備が不要になる
【3】構体を軽くできる

 ここで言う「構体(こうたい)」とは、車体の基礎となる箱状の構造物のことです。現在の日本の電車では、構体はすべて金属製で、材料として一般の鋼(普通鋼)やステンレス鋼、アルミニウム合金が使われています。

 普通鋼は、安価で加工しやすい材料であるため、電車の構体の材料として長らく使われてきました。ただし、表面が腐食すると強度が低下し、最悪穴があく場合があるため、定期的に塗装を施し、腐食を防ぐ必要がありました。

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