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「線路を走っている車両はすべて『電車』だ」という日本ならではの誤解

新幹線の営業列車は、すべて「電車」で運転されている

新幹線の営業列車は、すべて「電車」で運転されている

 鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人々の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術ライターの川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第5回は「鉄道車両と電車」について。

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「線路を走っている車両はすべて『電車』だ」と思っておられる方はいませんか。たしかに日本、とくに大都市圏では鉄道車両の大部分が「電車」なので、そう思う方がおられても不思議ではないかもしれません。

 しかし、正確に言うとこれは誤りです。なぜならば、鉄道車両には「電車」以外の種類が存在するからです。

 そこで今回は、鉄道車両の種類を紹介したうえで、「線路を走っている車両はすべて『電車』だ」と誤解される方が多い理由を説明します。

鉄道車両の4分類

 鉄道車両を用途で大きく分けると、以下の4つに分類されます(説明文は『鉄道技術用語辞典』第3版を参照して要約したものです)。

・機関車:旅客や貨物を搭載せず、動力を持ち、もっぱら他の車両をけん引する車両
・旅客車:旅客(人)を輸送する車両
・貨物車:貨物(物)を輸送する車両
・特殊車:特殊な構造や設備を持つ車両

 これらの鉄道車両をさらに分けると、多くの種類に分類できます。「電車」は下図の★の部分です。

用途で分けた「鉄道車両」の種類

用途で分けた「鉄道車両」の種類

 この図にあるように、「客車」は動力を持たない旅客車、「貨車」は動力を持たない貨物車です。どちらも動力を持つ「機関車」によってけん引されることで線路を走ります。

 いっぽう「電車」は、電気を動力として自走できる「客車」または「貨車」の総称であり、旅客を運ぶ「旅客電車」と貨物を運ぶ「貨物電車」があります。一般的には「旅客電車」のことを「電車」と呼びますが、日本では貨物コンテナを輸送できる「貨物電車」が存在し、東京・大阪間を結ぶ貨物列車で使われています。

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