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「雑居房、独居房に座ってみた」新たな更生プログラムを導入した刑務所でオバ記者が感じたこと

“オバ記者”こと野原広子さんが刑務所内をレポート

“オバ記者”こと野原広子さんが刑務所内をレポート

 一体何が行われているのか、どんな環境なのか──謎に包まれた存在である「刑務所」。体験取材を得意とする女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、新たな更生プログラムが導入された刑務所「喜連川社会復帰促進センター」(栃木県さくら市)を訪れた。

 * * *
 私たちの暮らしとは無縁。コンクリートの高い壁に囲まれたそこにいるのは悪人ばかり。刑務所をそんなふうに思っていないだろうか。しかし、取材を許され、独居房にも入った私が見たのは、薄い背中で農作業や木工に励む、どこにでもいそうな受刑者たちと、最新の社会復帰システムだった──。

 えっ、ここが刑務所? しゃれたデザインの正面入口の前に立ったときの戸惑いといったらない。どう見ても美術館か、はたまた新設の学校か。

 ところがその数分後、私も同行のカメラマンのA氏、取材記者のFさんも緊張で表情をなくしていた。

「いいですか。この扉は数秒で自動的に閉まることになっています。開いたら素早く入ってください」

「喜連川社会復帰促進センター」の青柳宏さんは金属製扉の前で私たちにそう告げた。なぜ?と聞くまでもない。ここは出入りが厳しく管理されている刑務所だからだ。

「なぜ野原さんはここを取材しようと思ったんですか?」

 取材中、青柳さんからド直球の質問をされた。とっさに「ライターだから」と答えたけれど、実は私、10代の頃、自分の身が自由にならなかった時期がある。

 高校に行っている時間以外は他人の管理下に置かれた。私の場合、家庭の事情だったけれど、思春期の体験は強烈で、今日の不自由が明日の糧につながるならば、心のありようはずいぶん違う、と身をもって学んだ。

 テキパキと作業をこなしている受刑者の後ろ姿を見ていたら、そんな昔のことを思い出していた。

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