田代尚機のチャイナ・リサーチ

サウジ・イラン合意の仲介役・中国、中東での影響力拡大で「ドル覇権」に大きな揺らぎ

中国がサウジアラビアとイランの外交関係正常化合意の仲介役となったことで、国際金融市場はどう変わるか(イランメディア提供。AFP=時事)

中国がサウジアラビアとイランの外交関係正常化合意の仲介役となったことで、国際金融市場はどう変わるか(イランメディア提供。AFP=時事)

 中国の経済発展に加え、国内産油量の伸び悩みにより、中国の石油輸入は増加傾向にある。新エネルギーへの転換といったネガティブな要因もあるが、中国は世界最大規模の石油化学産業を抱え需要拡大要因もあるだけに、サウジアラビアにとって中国が最大の得意先であるといった状況は今後も変わらないだろう。

 一方、米国はオイルシェール革命によりサウジアラビアをはじめ中東からの石油輸入を激減させ、経済上の結びつきを弱めている。さらに米国が人権重視の姿勢を貫く限り、サウジアラビアの米国離れは止まらないのではないか。

 イラクは2月23日、対中国貿易において人民元決済を認めると発表した。米国から金融制裁を受けているロシア、イランに加え、OPEC加盟国第2位の産油国であるイラクも人民元の国際化に貢献しようとしている。

 サウジアラビアのモハメド・アルジャダーン財務大臣は今年1月、ダボス会議に出席、「現在ドルにペッグしているサウジアラビア・リヤルだが、非ドル通貨による取引を開放しており、今後、リヤルを通貨バスケット制に移行する可能性がある」と発言している。オイルダラーの崩壊、オイル人民元の始まりも近いかもしれない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。楽天証券で「招財進宝!巨大市場をつかめ!今月の中国株5選」を連載するほか、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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