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シリコンバレー銀行破綻は“超緩和バブル”の反動 日本の銀行に飛び火する可能性はあるのか

シリコンバレー銀行破綻が「リーマン・ショックの再来」につながる可能性はあるのか(Getty Images)

シリコンバレー銀行破綻が「リーマン・ショックの再来」につながる可能性はあるのか(Getty Images)

 3月10日にシリコンバレーバンク(SVB)、12日にはシグネチャー・バンクと米国で相次いで銀行が経営破綻している。総資産約2090億ドルにも及ぶSVBの破綻は史上2番目の規模で、リーマン・ショック以降最大の経営破綻となり、シグネチャー・バンクの破綻は史上3番目の規模となることから、世界的な金融危機につながった2008年のリーマン・ショック再来を指摘する声も高まっている。

 とりわけSVBのケースでは、運用していた米国債や住宅ローン担保証券(MBS)などの有価証券の価値が下落して多額の「含み損」を抱えていた。これに対し、SVBは含み損処理と資本増強策を3月8日に発表したが、むしろ信用不安の拡大につながり、預金が次々と流出する取り付け騒ぎに発展し、破綻に至った。

 日本の地銀の多くも、運用先が限られるなか、米国債など有価証券の保有が増え、その含み損は昨年12月末時点で3兆円にのぼるとされる。そのビジネスモデルがSVBと似通っていることから、日本の地銀などにも飛び火するのではないかと“疑心暗鬼”が広がっている。はたして米国で相次ぐ銀行破綻は日本にも影響を及ぼすのか──。

 グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が、SVB破綻の原因について解説する。

「SVBは米国のスタートアップ企業が顧客の中心になっていて、コロナバブルで大量の資金を調達したシリコンバレーの新興テック企業から預金を集めてきました。預金残高は2020年からの3年間で3倍超に膨らむほど。その急増した預金を米国債などの有価証券で運用するなか、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げによって金利が上昇したことで債券価格は下落。また顧客であるスタートアップ企業の資金繰りが厳しくなったことも重なり預金の引き出しが増加。結局、大幅な含み損を出し、3月8日に債券の売却と大規模資金調達を発表しました。

 ところが、この発表がかえって同行の信用不安を拡大し、スタートアップ企業を中心に預金が流出するという大規模な取り付け騒ぎが起こってしまったわけです。つまり、破綻の主な原因は、顧客が一定の業界に集中していたことと、米国の急激な長期金利の上昇にあります」

 こうした局地的な「集中」による要因は、他のケースにも見て取れるという。

「SVBの前に清算を発表したシルバーゲート銀行やその後に続いたシグネチャー・バンクは暗号資産(仮想通貨)を中心に取り扱っていたので、このケースでも一定の業界に集中していたことがわかります」(戸松氏、以下同)

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