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不動産「相続登記の義務化」で多額の費用がかかるケースも 「過料10万円を払ったほうが安上がり」の考えには注意が必要

来年4月からの「相続登記の義務化」にどう対応する?(イメージ)

来年4月からの「相続登記の義務化」にどう対応する?(イメージ)

「相続の大激変」が続いている。なかでも注目を集めているのが、来年4月からの「不動産の相続登記の義務化」だ。新制度の内容や影響、正しい対策まで、専門家が疑問に答えていく──。

Q.どんな新ルール?

 これまで、不動産(土地・建物)の所有者が亡くなった場合も、登記の名義変更は義務ではなかった。吉澤相続事務所代表の吉澤諭氏が解説する。

「亡くなった人宛てに送られる固定資産税納付書で誰かが納税すれば特に注意もされなかった。それが2024年4月1日から相続登記が義務化されます。義務化前に相続した不動産も対象になり、期限は相続による取得を知った日から3年以内。正当な理由なく怠れば10万円以下の過料が科されます」

 所有者不明の不動産が増え、「都市開発や災害復興の妨げになっており、所有者を明確にする相続登記の義務化が決まった」(吉澤氏)という。

Q.登記しないままだとどうなる?

 制度のスタート前ながら吉澤氏はすでに複数の相談を受けているというが、「10万円で済むなら払ったほうが得」という考えの人もいるという。

「不動産の相続登記のために、多額の費用がかかるケースも想定されます。たとえば父親が死んだ時に、不動産の名義が昔亡くなった祖父のままだった場合。相続登記には祖父の相続人全員の実印が必要で、相続人がすでに亡くなっていたりすると、さらにその妻や子供らのハンコをもらわないといけない。必要なハンコがどんどん増えて膨大な時間とお金がかかる可能性がある」(吉澤氏)

 そうした場合、10万円を払って済むなら、そのほうが安上がりと考える人もいるわけだ。

「ただし、過料を払った後にどのような取り扱いになるかははっきりしていないため注意が必要です」(吉澤氏)

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