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【日本株週間見通し】一進一退か 手掛かり材料難の中どう動く?

 一方、岸田文雄首相が今国会会期中の衆議院解散を見送る考えを表明したことが失望感を誘い、日経平均は先週末に一時下落。また、その前日15日には午後に高値を更新しながらも引けにかけて失速するなど、日経平均は34000円を手前にやや買い疲れ感も見られた。需給面では、東京証券取引所が公表する裁定取引に係る現物ポジションによると、6月9日時点の裁定残高はネットベースで1兆1570.58億円の買い越しで、前週(1兆1828.55億円の買い越し)から小幅に減少、積み上がった裁定買い残の解消売り圧力が始まっているようで、下値は堅くとも、短期的には上昇一服で上値の重さが意識される頃合いと考えられる。

 今週の注目イベントとしては22日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の米上院での議会証言だろう。先週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では年内残り2回の利上げが示唆され、パウエル議長からは「利下げは2、3年先になるかもしれない」などとタカ派な発言が見られた。これに対し、市場は実際のところ結局は経済データ次第で、FRB自身も本当に利上げに固執したいとは考えていないと見透かしており、タカ派な姿勢をそのまま真に受けていない。ただし、議会証言でパウエル議長が改めて必要以上にタカ派な姿勢を見せると、市場が期待する米経済のソフトランディング期待が後退し、ハードランディングへの懸念が高まる可能性もあるため、この点は注意しておきたい。

 ほか、先週末はトリプルウィッチング(株価指数先物取引、株価指数オプション取引、個別株オプション取引の3つのデリバティブ取引の取引期限満了日が重なる日)、すなわち米国版のメジャーSQ(特別清算指数)に当たる。米株式市場は好調が続いているが、バリュエーションの割高感が指摘されているなか、SQ通過後の今週からは需給の転換も意識されやすいため、米国株の動向には注意を払いたい。

 5月第5週からは出遅れ感の強い中小型株や新興株にも買いが入り始めている。上昇相場前半の値がさハイテク株の一極集中から次第に大型株、そして中小型株・新興株へと良い形で物色が循環してきている。この形が続くようであれば足元の上昇相場は息の長いものになっていきそうだ。この先は、月末にかけて株主総会シーズンの終了に伴う材料出尽くし感や、四半期末に伴う年金基金によるリバランス(資産配分の調整)目的の利益確定売りが想定されるため、4月以降の上昇率が大きい値がさ株や大型株よりも、依然として出遅れ感の強い中小型株・新興株に投資機会を見出していきたい。

 今週は19日に5月首都圏新規マンション販売、米6月NAHB住宅市場指数、20日に米5月住宅着工件数、21日に日銀金融政策決定会合の議事要旨(4月27-28日開催)、22日に米5月中古住宅販売件数、米パウエルFRB議長の上院議会証言、23日に5月消費者物価指数(CPI)、米6月製造業購買担当者景気指数(PMI)、などが予定されている。

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