未取得者にわざわざ資格確認書を送付するコスト
もともと、マイナカードの取得は任意なのに、現行の保険証を廃止することで「事実上の強制」として進められていることに疑問の声があったわけだが、これだけトラブルが続出しているのにもともとの構想にこだわる政府の姿勢に批判が噴出するのは当然だろう。
あまりに不評のためか、河野デジタル相はテレビ番組で、「次にカードを更新する時には、マイナンバーカードという名前をやめたほうがいいんじゃないか」などと発言し、それに対して松野博一官房長官が「(名称変更は)政府として検討しているものではない」と否定するなど、混乱に拍車がかかっている。大手紙政治部記者が言う。
「さらに、与党・公明党の山口那津男代表は7月4日、来年秋に健康保険証が廃止された際、マイナカードを取得していない人には保険診療が受けられる『資格確認書』を送付することを検討すべきと発言しました。
マイナカードを取得していない人でも、切れ目なく保険診療を受けられるように本人からの申請を待たずに届けるべきとの発言ですが、未取得者にわざわざ資格確認書を送り届けるコストをかけるくらいなら“保険証の廃止を延期・中止すればいいじゃないか”という声があがって当然でしょう。与党内でさえ考え方がちぐはぐで大混乱の様相です」
来年秋に廃止というスケジュールありきの対応ではなく、なぜマイナカード、マイナ保険証が必要なのかという原点に立ち返った丁寧な説明が必要ではないだろうか。(了)