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マイナンバーカードのトラブルは「消えた年金問題」の再来 野党に責任転嫁する河野太郎・デジタル相の大間違い

河野太郎・デジタル担当相は「民主党政権が作った制度」と責任転嫁するが…(時事通信フォト)

河野太郎・デジタル担当相は「民主党政権が作った制度」と責任転嫁するが…(時事通信フォト)

 岸田内閣の支持率が想像以上のペースで急落し、政権に動揺が走っている。6月23~25日に実施された読売新聞の全国世論調査では、内閣支持率が41%となり、約1か月で15ポイントも下落した。岸田文雄首相の秘書官を務めていた長男・翔太郎氏の不祥事などに加え、やはり影響が大きいとみられるのがマイナンバーカードを巡る問題が続出していることだ。2009年に自民党が政権与党から転落するきっかけのひとつとなった「消えた年金問題」と重なって見えるとの指摘も出るなか、“総点検”の責任者となる河野太郎・デジタル担当相の失言もあり、騒動はまだまだ収まりそうにない。

 前述の読売新聞の世論調査では、マイナンバーカード(マイナカード)を巡るトラブルに対して政府が適切に対応していると思うかという問いに、「思わない」と回答した人が67%にのぼったという(「思う」は24%)。現在の健康保険証を来年秋に廃止してマイナカードに一本化することについても、「反対」が55%と過半を占めた。

 この間、マイナカードを巡る数々のトラブルが表沙汰になってきた。健康保険証と一体化した「マイナ保険証」への別人の個人情報の登録、マイナカードを活用した住民票写しの交付などで別人の証明書を付与、マイナポイントの別人への付与、マイナンバーに別人の公金受取口座を登録、といった具合に枚挙に暇がない。岸田首相は、河野氏をトップとする総点検本部を立ち上げ今秋までの総点検を指示したが、混乱が収束する目途は立っていないようだ。

消えた年金問題と同様のミスが起こる皮肉

 経済ジャーナリストの荻原博子氏は、「第一次安倍政権の2007年に大炎上した『消えた年金記録問題』が想起されます」と指摘する。

「誰のものか確認できない“宙に浮いた状態”の年金記録が5000万件もあることが発覚した問題でしたが、これは基礎年金番号を導入するにあたって各人の年金記録を統合する過程で、担当者の入力ミスなどが原因で起きたことでした。そうした杜撰な管理にならないようにと、個人を生涯にわたって識別できるマイナンバー導入の議論につながっていくわけですが、皮肉なことに消えた年金問題と同様のミスが繰り返されています。

 富士通子会社のシステムの問題などもありましたが、マイナカードのトラブルも消えた年金問題と同じような人的ミスが多くを占めます。今年2月末までにマイナカードを申請すると最大2万ポイントがもらえると喧伝したことで、申請が殺到。コロナ対応もあるなかで窓口が大混乱に陥り、行政の担当者が端末のログアウトを忘れたまま次の人の手続きをするなどして、誤った情報が登録されていったのです。国が自治体任せにしたうえに、国民にニンジンをぶら下げるかたちでの突貫工事を進めた結果だとも言えるでしょう」

 消えた年金問題の影響は大きく、当時の安倍政権は2007年の参院選で過半数割れとなる惨敗を喫し、衆参の「ねじれ国会」が生まれたことで2009年の民主党政権誕生へとつながっていく。その歴史を考えれば、岸田首相が火消しに躍起となるのは当然だろう。

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