岸田文雄首相は「向こう10年間、消費税は増税しない」と明言したものの…(時事通信フォト)
マイナンバーカードを巡るトラブルの続出などで岸田内閣の支持率が急降下しているなか、さらに国民の怒りを買うような動きが出てきている。2022年度の政府の税収は過去最高となる約71兆円だったが、にもかかわらず国民の税負担がさらに増えかねないという話なのである。
6月30日、総理大臣の諮問機関にあたる政府税制調査会が4年ぶりとなる中期答申をまとめた。そのなかに、サラリーマン(給与所得者)の収入から差し引かれる「給与所得控除」が手厚すぎるという主旨の指摘が含まれていたのだ。個人事業主などは売上から必要経費を差し引いて事業所得を算出し、所得税が決まっていくが、サラリーマンは収入から必要経費を引くことができない。その代わりに必要経費に相当するとされる所定額の「給与所得控除」が差し引かれる。
額面の給料などにそのまま所得税などの税率を掛けるのではなく、ある程度の額が控除されるわけだが、その仕組みについて、政府税調の答申ではこう指摘されている。
〈給与所得控除によりマクロ的には給与収入総額の3割程度が控除されていますが、給与所得者の必要経費と指摘される支出は給与収入の約3%程度と試算されており、主要国との比較においても全体的に高い水準となっているなど、「勤務費用の概算控除」としては相当手厚い仕組みとなっています〉
給与等の収入金額が「360万円超660万円以下」なら給与所得控除は「収入金額×20%+44万円」といった具合に、収入に応じて計算方法が変わるが、概ね収入の3割が控除されるという水準が手厚く、他の働き方に比べてサラリーマンが優遇されているということのようだ。答申では〈所得の稼得手段が多様化してきている状況も踏まえ、引き続き、公平かつ働き方に中立的な税制を検討していくことが求められます〉と述べられている。