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パーソナル・トレーナーによる厳しい指導でケガをしたら賠償請求できるのか? 弁護士が解説

 もっとも、あなたが指導に従わなかったり、勝手なトレーニングをした結果で起きた事故の場合で、トレーナーの指導との因果関係がないときには、安全配慮義務違反になりません。また、例えば体調不良などはもちろん、トレーニング中に感じている苦痛の程度など、指導の前提になる重要な情報を教えず、その情報で指導方法を変更することで事故を防止できたとすれば、あなたにも責任があるため、過失相殺されるでしょう。

 他に、ジムでは異変がなかったのにジムを出た後で障害が起きたり、障害の発生に気づいたりした場合には、その障害とトレーナーのトレーニングとの間に、相当因果関係があることが必要です。

 その障害がトレーナーの指導間違いで通常起きることが予見でき、他に具体的な原因も見当たらなければ、相当因果関係は肯定されます。そこで専門医の診断を受け、トレーニングの関係者らに相談し、トレーナーの指導と障害の関係を証明する必要もあります。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2023年8月4日号

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