キャリア

【専業主婦出身・国会議員】文科大臣・永岡桂子さん「主婦ほど世の中が見えている職業はない」

 24才でお見合い結婚した夫は農林水産省の職員でした。念願の専業主婦にはなれましたが、夫は仕事が忙しく深夜0時を過ぎないと帰ってこないし、休みの日はゴルフ三昧。唯一、急いで帰ってきてくれたのは、私が切迫流産で大出血したときだけ。

「なんだ、早く帰ろうと思えば帰れるんじゃない」って腹が立ちましたね(笑い)。そんな夫ですから、家事も育児も私のワンオペでした。給料も手取りで月額10万円そこそこ。そこから夫が借りていた奨学金1万5000円を払っていたので、生活はぎりぎりでした。自分のために使うお金はありません。娘たちの幼稚園の送り迎えには、いつもシミのついたTシャツを着て行っていて、恥ずかしかったですね。つましい主婦だったんです(笑い)。

専業主婦のキャリアがいまの仕事に生きている

 ところが、40代半ばで子育てがひと段落すると、時間を持て余すようになりました。それで犬を飼ったんですが、そこであることに気づきました。結婚してからの私の呼び名は「永岡さんの奥さん」、子供ができると「◯◯ちゃんのママ」、犬を飼ったら「バロンくんのママ」──ずっと“自分”がない人生だったなと。そう思うと寂しかったですね。歌手・竹内まりやさんの『毎日がスペシャル』(2001年発売)を聴いて自分を励ましていました。このタイトルはいまでも私の座右の銘です。

 そんなときです。夫が、「政治家になりたい」と言い出したのは。もちろん私は大反対。人様の家庭の心配をする前に自分の家庭を大切にしましょうよって。

 そうしたら夫は、「苦労はかけないから」と──そんなこと、あり得ないでしょう(笑い)。でも、夫は私に言う頃にはすでに外堀を埋めていて、出馬の用意ができていたんです。だから、もう仕方ありません。首を縦に振りました。

 苦労はかけないと言われたけれど、翌日から私は夫の選挙事務所で補佐を始めることになりました。つらかったのは、自分の失敗が夫や応援者の足を引っ張ること。人に責任を持たせるのが嫌だったんですね。

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