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大学の「保護者面談」の実態 就職活動からプライベートまで、教員たちを悩ませる“過保護すぎる”相談の数々

「昨年は『うちの息子が恋人ができたようだ』『どのような女子学生と付き合っているのか調べてほしい』などと相談されたんです。そんな探偵みたいなことを大学教員に依頼するのはおかしいですよね」と私立大学教授のBさんは困惑する(写真はイメージ)

「昨年は『うちの息子が恋人ができたようだ』『どのような女子学生と付き合っているのか調べてほしい』などと相談されたんです。そんな探偵みたいなことを大学教員に依頼するのはおかしいですよね」と私立大学教授のBさんは困惑する(写真はイメージ)

息子の恋愛事情を調べてほしい

 都内の私立大学教授のBさんは、驚くような相談を受けた。

「うちの大学では申込制で保護者面談を実施しています。面談を担当するのは、一応少人数制の演習科目を担当している教員なのですが、ゼミ生ではないので名前もパーソナリティも全くわからない。

 そんななかで、昨年は『うちの息子が恋人ができたようだ』『どのような女子学生と付き合っているのか調べてほしい』などと相談されたんです。そんな探偵みたいなことを大学教員に依頼するのはおかしいですよね」

一人暮らしで困ったことはないかチェックして

 上京して一人暮らしをしている学生の動向が気になる保護者も多いようだ。都内の私立大学の専任講師・Cさんが語る。

「先日、地方から東京に出てきた学生の保護者の方とオンライン面談をしましたが、『うちの子がちゃんと授業に出ているか、一人暮らしで困ったことがないか、逐一チェックしてあげてほしい』と言われました。

 正直、こちらは何百人単位の学生を抱えていますし、学部の学生の数も非常に多い。そのなかで、当該学生を特定して、そのうえでプライベートの面倒まで見るというのは不可能です。このような非常識な依頼を受けるケースは、とくにコロナ禍以降に増えた気がします」

 学生への手厚いサポートを売りにする私立大学にとって、保護者面談は学生を募集するアピールポイントにもなる。とはいえ、大学教員はゼミの指導以外はあくまでも講義を担当する存在であり、自分の研究も進めなければならない。高校までの「担任の先生」とは、役割が大きく異なる。保護者や学生側と教員側の意識のミスマッチが、保護者面談での“過保護すぎる”相談につながっているのではないだろうか。(了)

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