マネー

岸田首相「サラリーマン増税は考えてない」発言のまやかし サラリーマンどころか“全世帯増税”への道筋が着々と

今秋の解散後に岸田首相が企む「増税・負担増リスト」一覧(週刊ポスト8月11日号より)

今秋の解散後に岸田首相が企む「増税・負担増リスト」一覧(週刊ポスト8月11日号より)

サラリーマン増税どころか、全世帯への増税

「政府の『税金を取れるところから取る』という姿勢は鮮明です」と指摘するのは、経済ジャーナリストの荻原博子氏だ。

「岸田政権はすでに、サラリーマン増税どころか、全世帯への増税の道筋をつけようとしています。たとえば、今年の10月からスタートする消費税のインボイス制度。これは個人事業主やフリーランスの人に影響があるだけでなく、将来的には“消費税が上げやすくなる”というかたちで、国民全員への負担増につながる可能性があります。

 インボイス制度は、現在10%の標準税率と一部の食料品などへの8%の軽減税率が併存するなかで、請求書に税率の明記を義務化することで適正な課税を行なうことを目的としています。しかし、これが実施されると今後は複数税率を導入しやすくなり、消費税を上げやすくなるのです。たとえば、軽自動車は消費税率10%だけど、普通車は15%、高級車は20%といったことが可能になる。そして導入後に20%課税の対象を少しずつ広げていく、といったこともやりやすくなります。

 北欧のように消費税が高くても高等教育費が無償ならまだしも、日本はOECDのなかで教育費の公的支出が最も少ない。学費がどんどん上がるなかで、国が家計に教育費の負担を押しつけているような状況で、これも“隠れ増税”と言えるでしょう。現在の国民負担率は46.8%(令和5年度見通し)ですが、隠れ増税も合わせると負担はもっと大きい。その上、給料も上がらないなかで各種控除やサラリーマンの退職金課税を見直し、消費税増税にまで手をつけたら日本の経済は立ちゆきません」(荻原氏)

 増税や控除の縮小による負担増に対して大きな反発があるからこそ、岸田氏は前述のように宮沢氏を通じた談話の公表などで沈静化に走っているわけだが、そもそもこの火消しについても額面通りには受け取れないだろう。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。