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岸田首相の「食料安全保障」は絵に描いた餅 決定的に欠落している“日本農業最大の弱点”への危機感

食料安定供給・農林水産業基盤強化本部の会合で発言する岸田文雄首相(時事通信フォト)

食料安定供給・農林水産業基盤強化本部の会合で発言する岸田文雄首相(時事通信フォト)

 食品値上げの動きが止まらない。スーパーでの買い物のたびに“想定外”の支払額に首を傾げることが増えている。だが、これから起きる食料危機は、それ以上に深刻な“想定外”なことになるかもしれない──。ベストセラー『未来の年表』シリーズなどを著書に持つ作家・ジャーナリストの河合雅司氏が、岸田政権の「食料安全保障」の問題点について、解説する。

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 スーパーマーケットに所狭しと並ぶ食料品──。そんな日常の風景が「当たり前」ではなくなる日が来るかもしれない。

 ロシアによるウクライナ侵略をきっかけとした穀物やエネルギー価格の高騰で、そんな不安がよぎるようになった。

 さらに、ロシアがウクライナなどとの黒海穀物合意を停止する暴挙に出た。日本への当座の打撃は小さいが、世界全体の小麦などの流通量が減ることになる。その分、他の主要産地で干ばつなどが発生した場合のリスクは大きくなった。合意停止が長引くこととなれば相場はさらに不安定化し、やがて日本にも影響が及ぶことだろう。食料品のさらなる値上げは避けられそうにない。

 むろん、現在の食料品価格の上昇はウクライナ侵略に伴う影響だけが要因ではない。世界各地での相次ぐ不作や、コロナ禍からの各国経済の回復に伴う食料需要の高まり、急激な円安の影響など、いくつもの要因が絡み合って起こっている。即座に日本の食料輸入が滞るわけでもない。

 とはいえ、日本経済は長期低迷してきており、「このまま国力が衰退していけば、遠くない将来、日本は思うように輸入できなくなるのではないか」といった見方が広がっている。すでに一部では“買い負け”が現実となっている。

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