中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

阪神が優勝すると好景気になる? バブル前夜「1985年の阪神日本一」は東京の小学生だった私も大興奮した

1985年に道頓堀川に投げ込まれ、24年の時を経て発見されたカーネル・サンダース人形(時事通信フォト)

1985年に道頓堀川に投げ込まれ、24年の時を経て発見されたカーネル・サンダース人形(時事通信フォト)

日本シリーズで阪神ファンの先生が授業を自習に

 その後は、阪神百貨店の優勝セールで黒山の人だかりなど、大阪が大いに盛り上がった様子がテレビで流れていました。私も母親にせびって阪神優勝後に発売された『週刊ベースボール』と『アサヒグラフ』の特別号を買ってもらいました。『アサヒグラフ』には阪神ファンの北杜夫氏や藤本義一氏のコメントなども掲載されていました。

 そして日本シリーズ開始。当時はデーゲームで行われていたため、阪神ファンの教師は試合を観られない。これが無茶苦茶なのですが、私の小学校にいた熱烈阪神ファンの教師は、なんと阪神が王手をかけた第6戦が開始する13時からの授業を勝手に自習にしてしまった。彼は職員室で試合を観戦するのです。西武球場で行われたこの試合、1回表にいきなり長崎が満塁ホームランを打ち、2回には真弓がソロホームランを打ったところで5点差がつきこの教師は安心したのか、授業に戻ったとのことです。

 そして、悲願の日本一に。大阪では道頓堀川にダイブするファンが続出、カーネル・サンダース人形が「バースに似ている」という理由で川に投げ込まれました。もうこの年の大阪の盛り上がりったらなかった。東京にいながら、すごい世界があるものだと思ったものです。

 この次の年からバブル景気は始まったわけで、前出の部長が言った通り、関西発で消費活動が活発化し、それにつられる形で全国に好景気が波及したのかな、なんてことも少しだけ(本当に少しだけ)思うのでした。さて、今回の阪神の優勝の後、日本の景気はどうなるのでしょうか。少子高齢化のうえ増税だらけでまったく好景気になる予感はありませんが、個人的には、できれば多少なりとも停滞ムードを吹き飛ばしてほしいな、と期待します。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

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