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【新NISA活用術】成長投資枠で長期投資を考えるなら投資信託に絞る手も 自動再投資分は枠に含まれず複利効果に期待

現行の一般NISAに代わる「成長投資枠」をどう活用するか(イメージ)

現行の一般NISAに代わる「成長投資枠」をどう活用するか(イメージ)

 2024年1月スタートで注目されているのが新NISA(少額投資非課税制度)だ。現行NISAより格段に使い勝手が良くなる。

 本来、投資で得た配当金や売却益には約20%の税金がかかるが、NISAは一定額までの個別株や投資信託などによる利益が非課税となる制度。来年1月の制度変更により、非課税投資枠や非課税期間の拡充、利便性の向上が見込まれるため、新制度スタートに合わせて利用を検討する人は多いだろう。

 新NISAのルールと上手な活用法をファイナンシャルプランナーの柘植輝氏が解説する。

「新NISAは生涯を通して投資できる非課税枠が1800万円と2倍超の水準に拡充され、そこから得られる利益が無期限で非課税となります。また、現行ではつみたてNISAと一般NISAのどちらかしか選択できないという制限がなくなり、つみたてNISAに代わる『つみたて投資枠』を年間120万円、一般NISAに代わる『成長投資枠』を年間240万円、合計年間最大360万円までを併用しながら1800万円(成長投資枠の保有限度額は1200万円)まで自由に投資できるようになります」

 つみたて投資枠の投資対象商品は「積立・分散投資に適した投資信託」となり、金融庁の基準を満たした投資商品251本(2023年9月時点)に限られているが、成長投資枠は投資信託以外にも上場株式やREIT(不動産投資信託)など、より多くの商品が対象となる。

 新制度では長期の積立投資をしながら、短期でリターンを狙える個別株も買うといった組み合わせができるのだ。

 非課税期間の撤廃も大きい。現行制度ではつみたてNISAで20年間、一般NISAで5年間という非課税保有期間があり、期間中に年間の非課税枠(つみたてが年40万円、一般が年120万円)を使い切らないとその分の枠が消える仕組みだったが、新制度では期間の定めがなくなったため、資金に余裕がある年だけ多めに投資するといった投資プランも立てやすくなる。

「そのうえ、1800万円の投資枠を使い切っても投資商品を売却して手放せば、その分の非課税投資枠が翌年に復活します」(柘植氏)

 このルールのもと長期間にわたって売買を繰り返せば、1800万円以上を非課税投資に回せることになる。

「ただし、注意したいのは成長投資枠で高配当株やETF(上場投資信託)から得た配当益を再投資する際には、その分も1800万円の非課税枠に含まれる点です。それに対し、投資信託で得た利益を自動再投資する場合、その再投資分は1800万円の枠に含まれません。長期でみると、結果的に投資信託の複利効果で高配当株よりも資産を大きくできる可能性がある。老後資金を形成するのが目的なら、長期で投資信託に絞って積み立てるのも有力です」(柘植氏)

※週刊ポスト2023年10月6・13日号

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