吉田みく「誰にだって言い分があります」

初めてフィッシングメールに遭遇した50代女性社員の動揺ぶりに職場が大混乱 「私は無実!」「どうして私が詐欺の標的に?」

フィッシングメールを受け取ったことで“罪悪感”が生じるケースも(イメージ)

フィッシングメールを受け取ったことで“罪悪感”が生じるケースも(イメージ)

「私が犯罪者みたいな感じになっちゃった」

 とはいったものの、どのように解決したらいいか分からないアオイさんは、同じ業務をする20代の女性社員(以下、Aさん)に相談したという。

「Aさんなら年下でネットにも詳しそうだし、私の不祥事を周囲に言いふらすことはないと思ったんです。今回の経緯を話した上で、どのように対処した方が良いのか相談しました。そしたら『アオイさん! これ、詐欺サイトに誘導するメールです。絶対に開かないでくださいね!』とオフィスに響き渡るような声で言い出したんですよ。Aさんに相談した私がバカでした」

 一聴すると、Aさんはアオイさんが詐欺に引っかからないように忠告してくれたように思えるが、アオイさんの解釈は違ったようだ。

「ネットサーフィンなんて社内の誰もがやっていますよ。私は悪いことしてないのに何で詐欺に狙われるんでしょうか? しかもAさんは『このメールアドレスは宅配業者のものじゃないと思いますよ』とか言い出して……。なんでそんな大企業の情報を知っているのか分かりませんけど、とにかく私が犯罪者みたいな感じになっちゃったんです」

 アオイさんのデスクの周りには社員が続々と集まり始め、「これはフィッシングだねー」と誰もが言い出したという。「自分自身が詐欺の関係者だと勘違いされているのでは」と思い込んでしまったアオイさんは、意外な行動をとり始めた。

「私が無実であることを一生懸命説明しました。もちろん通販サイトを閲覧してしまったことと、身に覚えはないけれど注文をしてしまったことは謝罪し、今回の件の始末は自分ですることを話したんです。ですがAさんは『え? ちょっとよく分からないです』としか言わなくて……。私の話は通じないんだと思い、URLを押そうとしたら『絶対に押しちゃだめですよ!』と言うんです。意味が分かりませんでした」

 アオイさんのもとに届いたメールは、無作為に送られ、フィッシングサイトへ誘導するものだ。受信者であるアオイさんが悪いわけではないので、無視するなりメールを破棄すればいいはずだが、その時は対処の仕方を理解できていなかったという。

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