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森永卓郎さんが振り返る“父の死後の手続き”の苦労 銀行口座の開示に戸籍謄本と相続人全員の合意書が必要で「気を失いそうになりました」

「死後の手続きは涙が出るほど大変だった」と振り返る森永卓郎さん

「死後の手続きは涙が出るほど大変だった」と振り返る森永卓郎さん

 葬儀や相続、そして片付け……大切な人を失い、悲しみに浸る間もなく「死後の手続き」はやってくる。それは著名人にとっても逃れようのないことだ。

「死後の手続きは、はっきり言って地獄。あまりの大変さに泣きそうでした」と断じるのは2011年に父親が他界し、死後の手続きに直面した経済アナリストの森永卓郎さん。

「2006年に脳溢血で倒れた父を5年間妻とともに介護した末に旅立ったため、亡くなったこと自体は穏やかに受け入れられたけれど、その後はトラブルだらけ。父の銀行口座や生命保険の情報がまったくなかったことで、手続きが一気に複雑化してしまった。

 生前父に『貯金や財産はどう管理してるの?』と聞いてみても、特攻隊員の生き残りで亭主関白、母が生きていた頃は自分で靴下も履かなかったような男性だったから『あるけど、わからねえ』の一点張り。

 そんな父から聞き出すのは無理だと判断し、“通帳なんて貸金庫に入っているだろう”と高をくくって、死後に金庫を確認したら、何も入っていなかったんです。当時は支店までこちらで特定しなければ口座の確認をとってもらうことができず、慌てて実家に届いていた郵便物を一つひとつチェックして情報を探りました。

 いざ情報を持って銀行に行くと、さらに父が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本と相続人全員の合意書が必要と言われて、気を失いそうになりました。感動の涙ではなく、苦労しすぎてまさに目から汗が、という状況でした」(森永さん)

 苦行のような洗い出しの結果、ようやく9つほどの銀行と証券会社の口座内容を確認することができた。

「血のにじむ思いで開示したら、そのうち一行の口座残高は700円。脱力感のあまりその場で“放棄します”と言ってしまったぐらいです。一応、基本的な経済の知識があるから自力で確認できましたが、普通の人は絶対に無理。銀行の通帳と印鑑の場所だけでも把握しておけば桁違いに楽になるので、生前のうちに確認しておくべきです。

 またぼくはこの経験から、少なくとも自分の子供には同じ経験をさせてはいけない、と銀行口座や所有株のリストを作りました。そうした意味では“最後に身をもって受けた父からの教育”と言えるかもしれません」(森永さん)

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