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「だって本当のことなんか知りたくないんだもの」…詐欺被害者に共通する行動と考え方をオバ記者が考察

結婚詐欺でお金以外のすべてを失った体験

 堅実で「石橋を叩いて叩き割る性格」と自他ともに認めるH美が、なぜこんなことに騙されたのか。

「私さ、自分の前に悪い人が現れるわけがないと思っていたんだよね」。ポツリとつぶやいたH美の言葉に、「それ、わかる」と私。だってネット投資詐欺には遭ってないけど、結婚詐欺には2度遭っているもの。一度は未遂に終わったけれど、40才のときはお金以外のすべてを失った。

「京都の裕福なバツイチの漢方薬屋」を自称する彼のプロポーズに大喜びした私は、仕事仲間から友人・知人ら皆に彼の話をしまくった。お金と恋の両輪が回り始めた私を止めるものはなかったと思う。

 ところがある日突然、彼と連絡がつかなくなったんだわ。当時はガラケーで電波が悪くてつながらないということがよく起こったけど、日が経つにつれて頭の中から黒い霧が消えなくなったのよ。

 もしかしたら私は、彼のことを何も知らないんじゃないか。そう思いかけたとき、「ごめん、ごめん。中国の奥地に買い付けに行って連絡ができなかったんや。今朝、上海から帰ってきたとこ。疲れた~」と言うから、わざと甘い声を出して、「心配しちゃったよ。じゃあ、関空に着いたばかりだね」と言うと、「そうや。いま関空から車で家に帰る途中や」と言うの。

 ガラケーを閉じた次の瞬間よ。空港に電話して、その朝、上海から関空に着く便があるかどうか聞くと、結果は「ございません」。それからは、彼の話でちょっとでも「ん?」と思ったことを確認した。たとえば長男が勤めているという「○○銀行大手町支店」が本当にあるかとか、彼は独身かとか。結果は言うまでもない──。

 身から出たサビとはいえ、「すごいね。いつ京都に移住するの?」と周りから聞かれると、もう誰にも会いたくない。家で布団をかぶって詐欺男を憎み、自分のアホさを呪ってはぬたを打つ。あのときの心境は、いま思い出しても「ヒャ~ッ」と叫びそうになるもんね。

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