大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

【ライドシェア解禁議論】大前研一氏が提唱する、白タクとは異なる「日本型ライドシェア」のあり方

新タクシー免許の導入を急げ

 そして、もちろんライドシェアは早急に解禁して推進しなければならない。ただし、その前にライドシェアの概念を次のように区別して論を進めたい。

■相乗りタクシー/従来のタクシー会社に所属している普通自動車第二種免許を持つ運転手の営業車が、行き先が同じ方向の複数の乗客を有料で運ぶこと。

■海外型ライドシェア/海外で普及している「Uber(ウーバー)」などのように一般人が自家用車でタクシー業務を行なうこと。

■日本型ライドシェア(事業者協力型自家用有償旅客運送制度)/二種免許のない一般人がタクシー会社の協力を得て自家用車で乗客を有料で運ぶこと。

 まず「相乗りタクシー」は、すでに各地のタクシー会社が展開している。たとえば、利用者の自宅・宿泊先と空港やゴルフ場の間を相乗りで送迎する「NearMe(ニアミー)」などである。これはさらに普及を促進しなければならない。

 それに対し「海外型ライドシェア」は、既存の国内タクシー会社などの反対によって日本ではまだ本格参入できていない。しかし、これは日本の場合、国の許可なく白ナンバーでタクシー業務を行なう違法な「白タク」だから、解禁は難しいだろう。今も主に中国系観光客向けの白タクが横行しているが、厳しく取り締まるべきである。

 したがって、私は3番目の「日本型ライドシェア」を選択するしかないと思う。実は、すでに「自家用有償旅客運送」という制度がある。バス・タクシー事業が成り立たない過疎地域で住民の日常生活における移動手段を確保するため、国の許可を得た市町村やNPOなどが自家用車で有償のサービスを提供するものだ。

 この「自家用有償旅客運送」を都市部に拡大するという方法もあるが、利用者の安全・安心を確保するためには、タクシー会社に協力してもらって新たな免許制度を作るべきだと思う。

次のページ:検討すべき新たな免許制度の概要

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