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手取り額を左右する「住民税非課税世帯の壁」 大都市部では「年金収入211万円以下」が目安、収入が1万円多いだけで手取りが6万円以上減る逆転現象も

自治体によって住民税非課税世帯となる所得の基準は異なる

自治体によって住民税非課税世帯となる所得の基準は異なる

 税金を減らして豊かな暮らしを目指すうえでは、「住民税」が大きなポイントとなる。ファイナンシャルプランナーの柘植輝氏が語る。

「所得税の最低税率が5%なのに対し、住民税は所得にかかわらず一律10%が課されます。つまり収入が少ない人ほど住民税の負担感は大きくなります」

 家計に不安があると、少しでも収入を増やそうと考えがちだが、むしろ年金だけで生活する「住民税非課税世帯」を選ぶことのメリットに着目する選択肢もあり得る。

 厚労省の「令和4年国民生活基礎調査」によると、65歳以上の住民税非課税世帯割合は約35.0%。その多くが年金生活者の世帯だと考えられている。

 住民税非課税世帯となる所得の基準は自治体によって異なる。夫が65歳以上で妻の収入が国民年金のみの夫婦2人世帯なら、東京など大都市部では、夫の年金収入が「211万円以下」、地方の中核都市なら「203万円以下」、それ以外は「193万円以下」が住民税非課税世帯の目安となる。

 この「壁」をわずかでも超えると、家計の負担は一気に増える。年金収入211万円のAさん夫妻と、年金収入212万円のBさん夫妻(夫婦ともに70歳で神戸市在住)のケースで柘植氏が試算した。

「住民税非課税世帯は住民税以外にも、健康保険や介護保険の保険料が大幅に減免されるなどの優遇措置があります。それらを考慮して負担額を計算すると、Aさん夫婦のほうが7万円ほど負担が軽くなります。収入が1万円多いだけで年間の手取り額が6万円以上も減ってしまう逆転現象が起きるのです」

 岸田文雄・首相が打ち出した「4万円減税」は1回限り(1年限り)のものだ。それに対してこちらは毎年の話なので、違いが10年間積み重なれば、“211万円の壁”を越えないほうが約60万円も得になるのだ。

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