吉田みく「誰にだって言い分があります」

「同じような生活水準と思っていたのに…」 ハイシーズン価格の年末年始に「旅行する/しない」で顕在化するママ友の経済格差

「同じ生活水準だから」感じられた居心地の良さが…(イメージ)

「同じ生活水準だから」感じられた居心地の良さが…(イメージ)

 旅行大手JTBが12月5日に公表した調査結果によると、この年末年始の期間(2023年12月23日〜2024年1月3日)に1泊以上の旅行に出かける予定の人は推計2858万人だった(延べ人数。内訳は国内2800万人、海外58万人)。また、1人あたりの旅行費用は国内4万1000円、海外22万2000円と推計されている。物価高、インバウンド需要の回復、人手不足などによる宿泊費高騰などの影響から、国内旅行の費用は過去最高額だという。

 来年は1月4日と5日を休めば最大10連休(12月30日〜1月8日)も可能となるカレンダーのため、長期休暇を取る人もいると予測される。しかし、ハイシーズンであることに加えての旅行費用高騰により、たとえ国内であろうと宿泊旅行は庶民にとって“高嶺の花”と化しつつある。年末年始に旅行に行けるかどうかが、家庭の経済格差を明らかにするケースもあるようだ。ライターの吉田みく氏が30代主婦に話を聞いた。

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 年末年始が近づき、長期休みの計画を立てる人も多いだろう。しかし、旅行の計画で盛り上がる人もいれば、その話題に乗り切れない事情を抱える人もいる。

 埼玉県在住のパート主婦・ナオコさん(仮名、37歳)は、ママ友同士のランチ会で話題に上った年末年始の旅行計画に、複雑な気持ちになったという。

「今年の年末年始は国内外ともに旅行に行く人が多いとニュースなどで聞いていましたが、まさかそんな高い時期に、身近なママ友たちも家族旅行に出かけるとは思っていませんでした。恥ずかしながら、我が家にはそんな余裕はありません……」(ナオコさん、以下同)

 2人の子供を持つナオコさんは親しいママ友数人とのランチ会に普段から参加している。子供同士が仲良く遊び、良好な関係を築いていたという。お互いの収入までは知らないが、同じくらいの生活水準であるように感じていたし、物事に対する考え方も似ているなどの共通点もあった。そんな仲間内にいることで居心地の良さを感じていたのだが、ママ友Aさんの一言がきっかけでそれが崩れていく。

「Aさんは『海外のハワイには行けないから国内のハワイ風温泉リゾートに行くつもりなの』と自虐的に話していたのですが、私にとっては贅沢な旅行だし、すごく羨ましかったです。後日、その施設の宿泊プランを調べてみたら、ハイシーズンだと1泊10万円超はざらでした。我が家では考えられない金額です」

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