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【サブカル文化消滅の象徴か】「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガードの経営悪化にかつてのファンたちの思い 「ファンシーグッズばかりでガッカリ」の声も

「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガードの“変化”にかつてのファンの思いは

「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガードの“変化”にかつてのファンの思いは

「遊べる本屋」として若者を中心に支持を集めていたヴィレッジヴァンガード、通称「ヴィレヴァン」が、苦境に陥っている。2024年5月期の第2四半期決算を見ると、営業損失が7億4900万円で、前年同期には1億7600万円だった損失が大きく拡大している。コロナ禍以降は実店舗にくわえ、オンライン事業にも注力しはじめた同社だが、黒字化につながるほどの収益を生み出せていない。

 同社は、1986年に菊池敬一氏が個人商店としてスタートさせたのが始まりで、書籍販売を中心にキャラクターグッズや生活雑貨などを扱う。まるで迷路のような店内に、種々雑多な商品を陳列する空間づくりが印象的だ。

 1990年代から2000年代にかけて「サブカル」という言葉が一般化すると、ヴィレヴァンはいわゆる「サブカル系」を象徴する場所として注目を集めた。王道の漫画に加え、アンダーグラウンド系やアウトロー系の漫画、雑誌、また哲学書から近代文学までを並べた書棚は、多くの文化好きを唸らせた。サブカル的な教養に触れることができる文化的な空間としての地位を確立していたのだ。

 そんなヴィレヴァンがどう変化しているのか。そしてヴィレヴァンの窮地に、かつてのファンたちはどのような思いでいるのだろうか──。

かつては哲学書やアングラ系の本が並んでいたのに…

 2000年代半ばによくヴィレヴァンに通っていたという男性・Aさん(30代/会社員)はこう話す。

「僕の高校時代、ヴィレヴァンは天国でした。あの店でヴィトゲンシュタインやキルケゴール、ハイデガーなどの哲学書がPOPで紹介されていて、わからないながらもカッコイイと思って買った思い出があります。またアングラ系の出版物がまとめてあるコーナーがあり、1990年代のいわゆる鬼畜系とか、のちに有害図書指定されたアブナイ系の本、刺青の写真集とか、そういう文化に触れるスリルがあったんですよね。それがヴィレヴァンの魅力でした」(Aさん)

 そんなAさんも、今のヴィレヴァンはかつてと大きく変わっていると感じているという。

「最近、たまたま店舗を見つけて入ってみましたが、『ちいかわ』や『おぱんちゅうさぎ』『たべっ子どうぶつ』『サンリオ』のようなキャラものグッズばかりでしたね。またSNSのインフルエンサーが書いた手軽な読み物や自己啓発本がメインで陳列されていて、文学や哲学書などはなかった。

 漫画コーナーも見ましたが、普通の本屋と同じような少年漫画、青年漫画が平置きされていて、僕の知っている“ヴィレヴァンらしさ”が失われていたように思います。もう、かつてのサブカル民がワクワクするような空間ではないし、僕らはターゲットではないんだなと、少し寂しい気持ちになりました」(Aさん)

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