日産「エクストレイルe-4ORCE」で雪上をドライブ
今年も首都圏を襲った南岸低気圧による降雪被害。交通事故や予防的処置による高速道路の閉鎖や渋滞など、各方面に大きなダメージを与えた。そうした状況で4WDやスタッドレスタイヤなどの重要性を実感した人も多いかもしれない。
長野県・女神湖で開催された「雪上試乗会」に参加し、「エクストレイルe-4ORCE（以下、eフォース）」に乗車した自動車ライター・佐藤篤司氏によるシリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は雪上での4WD車の走りをレポートする。
モーターだけで駆動する、「賢い4WD」
4輪でパワーを路面に伝える「4WD」と、ひとくくりにしますが、そのシステムは様々。オフロードを得意とする本格四駆と言われるものから、スポーツカーやサルーンがオンロードを、より速く安定して走るためのシステム、さらにBEV（電気自動車）をはじめとした電動車のためのシステムなど、最近は多種多様と言える状況なのです。
そんな中で今回、雪上でドライブした日産エクストレイルが採用している4WDシステムが「eフォース」です。前輪にひとつ、後輪にひとつ、合計2つの高出力モーターと、4輪の回生ブレーキを統合的に制御するという4WDシステムです。これによって4輪の駆動力を自在にコントロールする「4輪制御」が可能となり、車を安定・安心方向に導くことが可能となります。
少しばかり分かりづらいかもしれませんが、「eフォース」は、日産がこれまで培ってきた4WD制御技術とシャシ制御技術、さらに電動化技術の集大成することによって実現できた「革新的駆動システム」といえます。
何よりこのシステム、制御に要する反応時間が早いのが特長。例えばバトミントンや卓球のトップ選手たちの反応速度は0.2秒、目の瞬きの速さは0.1～0.15秒と言われていますが、e-4ORCEの電子制御の速さは1万分の1秒単位と、人の感覚をはるかに超える領域です。これは、ドライバーが怖いと感じる前に走行安定性を確保すると同時に、思いのままのドライビングの悦びと安心を感じるための技術なのです。
こうした走りの味わいはエクストレイルに搭載されたハイブリッドシステム「e-POWER」だからこそ実現できたと言っていいでしょう。ガソリンエンジンは発電専用で、モーターはタイヤを回すのみ。つまりモーターの電子制御をするだけなので、より素早く適切な4WD制御が可能となったわけです。
もちろん、レスポンスの良さは雪のないシーズンのドライ路面で、すでに感じることができていました。走り出しはモーターならではの高い静粛性を伴いながらトルクフルな加速感は、エクストレイルならではの味。中でも雨で濡れた路面を、モーターの大トルクを的確に制御しながら加速・減速をこなし、さらに高速道路からワインディングのコーナリングまで、しっかりと路面を捉えながら走ってくれます。
