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【注目銘柄】東京鐵鋼:建設業界の省力化に貢献するニッチトップ

東京鐵鋼(5445):市場平均予想(単位:百万円)

東京鐵鋼(5445):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 東京鐵鋼(5445)は、鉄筋コンクリート用棒鋼を主力とする中堅電炉メーカー。連結子会社7社、非連結子会社2社及び持分法適用関連会社1社で構成され、棒鋼及び加工品の製造販売を行っています。

 主力の「ネジテツコン(高張力ネジ節棒鋼)」と専用継手は、国内超高層建築においてトップシェアを獲得しており、「グローバルニッチトップ企業100選(経済産業省)」にも選定されています。

「鉄筋コンクリート用棒鋼」は鉄筋の正式名称。

 鉄筋の製造方法は、鉄鉱石と石炭を原料とする高炉、あるいは鉄スクラップを電気で溶かして製造する電炉の2種類あり、同社は後者です。電炉を使って鉄筋を作っている会社ということになります。

 電炉による製造は、廃車のボディーや空き缶などを材料とすること、また石炭を燃やす高炉での製造に比べて二酸化炭素排出量が4分の1に抑えられることからサスティナブルな製鉄とも呼ばれ、近年注目されています。

 産業部門の二酸化炭素排出量の4割が製鉄現場から出ているとされていることからも、電炉への転換が推奨されています。ESGの観点から電炉で作った鉄を買う企業も出ているようで、日本製鉄はじめ大手製鉄会社も電炉への転換を進めています。

注目ポイント

 鉄筋は、圧縮に強いコンクリートと、引っ張る力や曲げる力に強い鉄筋を組み合わせた建築資材で、地震の多い日本で超高層ビルを建設するのに不可欠です。

 一方、鉄筋の最大長さはJISで12mと決められています。

 つまりそれ以上の長い鉄筋を必要とする場合には、継ぎ合わせて構造物に合う長さの鉄筋を作る必要があります。この時行われる作業を継手(接手)と言います。継手は大きく「重ね継手」「圧接継手」そして「機械式継手」の3種類に分けられます。

 重ね継手は主にスラブ(構造床)や床や屋根を支える小梁に用いられ、高層建築の柱や大梁などには、圧接継手と機械式継手が用いられます。圧接継手は鉄筋を酸素・アセチレン炎を用いて熱し、圧力を加えながら接合する方法です。この工法はコストの低さから最も一般的な工法として用いられているようです。ただ、適切な「加圧」・「加熱」・「圧接時間」の3条件が必要で、出来具合が職人に依存します。また、雨が降ると作業ができないというデメリットがあります。

 いまでも広く使われている圧接継手ですが、日本鉄筋継手協会によると、近年、機械式継手の実績が拡大していることが分かります(2000年に鉄筋継手の90%は圧接が占め、機械式継手は7%に過ぎませんでした(重ね継手除く)。これが2019年になると圧接は70%まで縮小し、機械式は30%に増加)。

 機械式継手は、圧接継手のように直接接合するのではなく、噛み合いを利用して接合する工法となります。いくつか種類がありますが、圧倒的に実績が多いのが「ねじ筋鉄筋継手」とされます。ネジの原理で接合できるネジ状の鉄筋です(鉄筋は、コンクリートとの付着性を高めるため表面にギザギザの突起がありますが、これがネジ状になっている)。

 ねじ筋鉄筋継手は、ガス圧接せず機械的に鉄筋同士を接合できるという特徴があります。これまでガス圧接では難しかった、超高層建築で用いられる太径の高強度鉄筋の接合も容易にするとのことで、都市再開発や高層建築物の増加が顕著だったここ数年においては、より利用が高まったのではないかと見ることができます。

 この特徴により、職人以外でも簡単に作業ができる、雨でも作業できる、そしてガス圧接のように職人の技術に依存しないことから品質が安定するというメリットが期待できます。ねじ筋鉄筋継手はナットやカプラーが別に必要になる分のコストが掛かってきますが、「圧接屋」と呼ばれる職人を用意する必要がありませんし、工期短縮の効果が期待できることなどから、人手不足が深刻化する中で実績が増えていると見られます。

 同社は、このねじ筋鉄筋継手の工法領域において、「ネジテツコン」(高張力ネジ節棒鋼)とその専用継手を展開しており、「超高層建築を手掛けるゼネコンにとって「ネジテツコン」による工法はもはや欠かせない」と自信を示しています。実際、超高層RC構造建築においては、国内50%以上の圧倒的トップシェアを獲得しています。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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