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【注目銘柄】酉島製作所:成長性兼ね備えるグローバルニッチトップ。累進配当への切替も評価

酉島製作所(6363):市場平均予想(単位:百万円)

酉島製作所(6363):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 酉島製作所(6363)は、1919年に創業したポンプのパイオニア。

 発電所や化学プラント、上・下水道施設や雨水排水施設、農業施設、ビル・商業施設、海水淡水化プラントなどに向けた、各種ポンプの開発・製造・販売、またEPC(設計・必要機器の調達・建設)での提供やアフターメンテナンスも行っています。

 ポンプ国内大手3社の一角で、特に海水淡水化プラント用大型ポンプでは世界トップシェアを誇ります。

 納入先がインフラ向けが多いことから、国内売上のうち7割が官需による売上となっています。官需は上下水道施設、排水施設、かんがい施設など向けのEPC事業(設計・必要機器の調達・建設)を指します。

 国内売上の残り3割は「民需」によるもので、国内の発電所(火力・バイオマス・地熱)向けポンプの他、一般産業の各種工場、ビル設備、商業施設などに標準ポンプとサービスメンテナンスを提供しています。

注目ポイント

 同社の創業は1919年で、水車、ポンプ専門の製造工場として始まりました。その後1927年には農業用ポンプで全国一位となり、現在のポンプ大手の一角としての礎が築かれました。

 戦後になると上下水道の整備や経済発展を追い風に順調に成長を遂げ、1970年代には中東諸国の海水淡水化プラント向けポンプを受注するなど、海外からの需要も受けるように。特に2002年にトリシマ・グローバル・チーム(TGT)が立ち上げられて以降は海外展開が急加速し、当初10%程度だった海外売上は2007年には50%を突破するまでに拡大しました。

 TGTの立ち上げは、人口がピークアウトし成長が期待できない国内にとどまっていてはダメだ、という考えのもとで行われました。海外事業拡大は成功し、発足当時わずか3拠点だった海外拠点も今や世界18か国28拠点に拡大、これまでポンプを納めてきた国は世界100か国以上に広がっています。

 同社が海外売上高比率を10%→50%以上に引上げた期間は、たった5年です。たった5年で国内官需主体の企業からグローバル企業に変身したわけですが、これはポンプメーカーとして高い技術が評価されているからです。

 同社は、鋳造から自社で行う国内唯一のポンプメーカーとしても知られます。素材から加工、組立までの一貫生産体制を持っており、ポンプの設計、製造から設備構築、アフターメンテナンスまで「ポンプにかかわるあらゆる」サービスを提供することが出来るのです。なので業界ごとの特性やニーズ、また国や地域ごとで異なる性質に合わせたポンプを作ることができます。

 例えば、同社が世界トップシェアを誇る海水淡水化プラント向けのポンプ開発でいうと、サウジアラビアではペルシャ湾側と紅海側で海水の塩分濃度が異なりますが、その水質毎の仕様変更が求められます。これに対応できるポンプメーカーは殆ど存在しないといいますから、世界的に見てもかなり高い競争力を備えていると言えます。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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