大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

富裕層の資産寄付制度導入なら日本は財政最優等国になる

 したがって、このまま行けば、いずれ必ず国債暴落が起きる。

 そこで、私から新たな問題解決策を提案したい。それは“資産を家族ではなく国家に相続する”というコンセプトで、富裕層から国への「資産寄付制度」を創設するというものだ。いわば「国家救済ファンド」である。

 私は日本の景気を良くするため、富裕層に対して「貯めるな使え!」と訴え続けてきたが、個人金融資産1700兆円の大半を持っている高齢者たちは、日本が貧しい時代に育っていて貯蓄奨励の“洗脳”を受けているため、いっこうにお金を使おうとしない。

 だから、国内外に大きな資産を保有している富裕層を対象に、亡くなった後で55%の相続税をかけるのではなく、生きているうちに資産の50%を国家に寄付してくれたら残りの資産とその後稼いだ資産には相続税をかけない、という仕組みを作るのだ。すでに2013年末から、国外に5000万円を超す財産を持っている日本人は国外財産調書の申告が義務付けられているので、制度を作ること自体はさほど難しくはないと思う。

 それでもし寄付した人がその後、資産を失って食うに困るような事態になったら、通常の2倍とか3倍の年金を保証するといったセーフティネットを設ければよい。そのようにすれば、本人も家族も相続で気をもんだり、疑心暗鬼になったりしなくて済むだろう。

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