様々な議論を巻き起こしたフジテレビの会見
世代が違えば、価値観も異なる。体験取材を得意とする女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんは、フジテレビの一連の騒動と会見に何を思ったのか。60代のオバ記者が、“昭和おじさんの浪花節”に苦言を呈する。
フジテレビ会見5人衆のうち新社長以外は同世代か年上
「うそだ!」
そう言ってカレンダーの前から動けなくなった私。1日が早い、1か月が早い、1年が早い。なんなら、あっという間に10年たっている。思い返せば、そうボヤき始めたのは40才を過ぎてからだ。いまや、カレンダーに気持ちがついていかない。ついこの前、新年を迎えて、フジテレビのトップ5人衆の10時間超え会見が話題になったと思っていたら、もう2月だなんて。
で、そのフジテレビの会見だけど、最初のうちは「なんだとおおお。それが通ると思ってんのかぁ!!」と立ったり座ったりして怒り狂っていたけど、4時間超えたあたりから拳を振り上げられなくなった。だって、5人衆のうち、新社長こそ3才年下だけど、あとは同世代か年上。
みんなそろってバブル期は、「24時間戦えますか」のCMソングをBGMに、夜を昼につないで働いていた人たちだ。それがいまや、頻尿とか高血圧とか不整脈とか、若い頃だったら考えられない体の変化があるはずなんだよ。去年の暮れに尿管結石であまりの痛さに救急車を呼ぶ寸前までいった私は、400人を超す記者から集中砲火を浴びてしどろもどろになったり、言葉に詰まったりしている彼らの体調が気になり出してきた。
もちろん、企業に不祥事があれば「責任者出てこーい」というのは当たり前で、フジテレビの女子アナに対する扱いが事実だとすれば、本当にひどいと思う。
でもさ、女性とトラブルを起こしたのは中居正広氏(52才)なんだよね。果たして彼は、おじいちゃんたちの長時間にわたる“公開処刑”をどう見ていたのか。「おれは引退したから責任を果たしたんだ。知るか」と思えるのか。それともテレビのリモコンを片手にもんどり打っていたのか。
もし私が彼のマネジャーだったら、会見の場に出るよう説得したと思うな。文書だけではなく顔出しで、「全部、私の至らなさです」を繰り返して涙を流したら、引退後の人生が天と地ほど違うのに……なんて妄想が止まらない。