国土強靱化対策本部長の佐藤信秋氏(筆者撮影)
“5年で15兆円”という大風呂敷を広げた国土強靭化の中期計画が最終年を迎え、新計画が石破政権下でつくられる。「防災」か「ばらまき」か。どんなトンカチ行政が展開されるのか。自民党本部5階の国土強靭化推進本部長室で全国の陳情を一手に引き受けてきた二階俊博氏から、昨年11月、その座を受け継いだキーマン、佐藤信秋参議院議員に聞いた。
「要望は各方面もう、ものすごくきてますよ。私は今も(精神は)役人だから、人の意見を集めてじゃあこうしましょうということに、これから汗をかくことになる」
佐藤氏は1972年に建設省(現・国土交通省)入省。政治家もその調整能力に一目置く大物官僚として鳴らし、道路局長、事務次官を務めた後、現在、参議院議員3期目。道路族議員の代表格で、東日本大震災直後から、二階俊博元幹事長とともに「国土強靭化」の旗を掲げてきた。
今年6月に策定するという次の5年の計画で、再び巨額の公共工事が打ち出されるのかを問うと、佐藤氏はこう答えた。
「石破(茂)総理は国会の演説で、“概ね15兆円程度の事業規模で実施中の5か年加速化対策を上回る水準で”と発言しました。今の計画は1年3兆円規模だけど、それを上回る事業規模ということ。しかも資材や人件費も高騰しているから、その分を調整しなきゃいけない。個人的な意見は、20兆円から25兆円だと思っているがね。
まずは南海トラフや首都直下地震の想定被害を減らすのに、どれだけの対策が必要なのか、あらためて各省に出すよう指示した。第一に、そうした全体計画からスタートして、第二に、財政制約などに照らしてどれくらいのスピードでやるかを考慮する。そして第三に、経済に与える効果も含めてバランスをとって議論する」