エンディングノートの作成は「気負い過ぎなくていい」という(写真:イメージマート)
何から手をつけていいのかわからない──そんな理由で生前整理を避けていると、家族だけでなく、自分の老後も悲惨なことになりかねない。一方で、しっかりやろうとすると多大な手間がかかるのがやっかいなところ。重要なのは、「最低限やるべき要点」を押さえることだ。
生前整理を進めてきたら、仕上げはここまでしてきたことをエンディングノートにまとめることだ。だが、「ノートの作成は気負い過ぎなくていい」と空き家対策パートナー代表の内藤久氏が語る。
「市販のエンディングノートは項目がたくさんあって少し大変ですが、本来はA4用紙1枚のみのメモでOKです。銀行、証券会社、保険会社は名前さえ書いておけばのちに遺族が容易に詳細を調べられるので、すぐにわからなければ支店名や口座名まで記す必要はありません。不動産も所在する自治体名だけで大丈夫です」
相続専門の税理士・植崎紳矢氏も言う。
「銀行は支店などがわからなくても遺族が窓口に行けば故人の口座を探してくれます。その際には法定相続情報一覧図など故人との関係を証明する資料が必要となります。証券口座は『証券保管振替機構(ほふり)』、保険は『生命保険契約照会制度』に問い合わせれば口座や保険契約を照会してくれます。不動産は所在する自治体さえわかれば『名寄帳』で不動産の情報を集められます」
便利な制度が充実してきているので、それらを上手く活用すれば遺族の負担は大きく減る。